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日本工業経済新聞社(茨城)
2014/02/14

【茨城】県土木部と茨建協、建築士事務所協が価格乖離で意見交換

 県土木部営繕課と住宅課は、建築工事を中心に入札不調が発生している状況を踏まえ、県建設業協会や県建築士事務所協会と意見交換会の場を設けた。第1回目となる全体会(12日、県開発公社)では、趣旨や検討方法などを確認。今後、ワーキングチームを通じて具体的な工事案件を抽出しながら設計価格と実勢価格の比較検証を進め、3月下旬をめどに現実的な問題解決を探りたい考えだ。
 昨今、資材や労務単価などの上昇で設計価格と実勢価格が乖離しているほか、技術者と職人不足の慢性化、入札不調により施設整備に遅れが出ている。県営繕課発注の建築一式工事では、不調発生率が2011年に7%だったのに対し、13年には25%となっている。
 これらの状況を踏まえ、問題意識の共有と、現実的な課題解決方法の検討を探るため、3者からなる意見交換の場が設置された。
 全体会のメンバーは、建設業協会や建築士事務所協会が会長、副会長、理事級。県土木部が総括技監、営繕課長、住宅課長で構成。ワーキングチームは、建設業協会が建築委員会から5人程度、建築士事務所協会が業務委員会や積算部会から5人程度、そして県土木部が技術総括、課長補佐、担当の5人程度選出される。
 第1回目の全体会では、意見交換会の設置趣旨や、設計価格と実勢価格を比較検証する方法などを確認した。
 工事の抽出方法は、まず乖離が大きい躯体、木、内外装の3工種を対象とする。そして大中小のさまざまな工事で比較できるよう3件の工事を営繕課の発注分から抽出する。
 3件の対象規模は、@校舎改築工事(RC造3階4500u程度)A校舎耐震補強工事(RC造4階3600u程度)B格技場耐震補強工事(S造平屋300u程度)―を設定した。
 また、そのほかの発注条件についても検討を予定している。
 冒頭のあいさつで、照沼孝雄県土木部総括技監は、さまざまな取り組みにも関わらず、県発注の建築工事で昨年末には大型物件の不調が3件あったことを踏まえ、意見交換の場を設けた経緯を説明。「実効性のある対策を速やかに取りまとめてまいりたい」と語った。また新年度に営繕課が発注する建築工事が、本年度と同程度の約200件となる見通しを示した。
 岡部英男県建設業協会長は、設計の中身と実際の単価に差がありすぎることに触れながら、「さまざまなケースがあると思う。この場で検証してまいりたい」と語った。
 続いて県建築士事務所協会から、所要の横須賀満夫会長に代わり柴和伸名誉会長があいさつ。「われわれとしては、過度な設計により実勢価格と乖離が大きいという認識までには至っていない。県営繕課の単価表を基準としている。ただ市町村において、われわれがしっかりと積算しても発注の段階で歩切りされてしまう状況もある。問題解決に向け取り組みたい」と語った。
 今後、3月中旬までにワーキングチームによる事例研究や分析、対応策の検討を2回程度行う。そして3月下旬には第2回の全体会を開き検証結果や対応策などを確認する予定だ。