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建通新聞社(神奈川)
2014/03/27

【神奈川】神奈川県公契約に関する協議会が報告書提出 条例以前に入札・契約制度の見直しを 公契約条例では意見の一致なし

 神奈川県の「公契約に関する協議会」(会長・小池治横浜国立大学大学院教授)は27日、協議会の報告書をまとめ県に提出した。今後、県が検討すべき課題として、@最低制限価格率など入札制度の見直しA一般業務委託での仕様の適正化、積算基準、設計単価のルール化B賃金実態調査の継続と蓄積C公契約条例制定自治体の運用状況調査継続−を挙げた。県は「報告書の内容を真摯(しんし)に受け止め県としての対応を検討し、適切な対応を図る」とした。
 6回にわたる協議会での委員の意見交換の内容をまとめた。現状認識として、低価格競争の増加、労働者への賃金のしわ寄せ、若年労働者の減少といった悪循環になっており、「労働者を含めた労働条件の改善は重要な課題」という点で一致した。
 公契約条例の導入に関しては、「賃金の下支えのために必要」などとする積極的な意見と、「熟練工賃金への影響や事務負担などの問題があり適切でない」とする懐疑的な意見があり、意見の一致は見られなかった。
 条例以外の対応策として、入札・契約制度の改善で契約額が増額すれば、労働者に支払える賃金も増えることから、「県は引き続き制度の見直しを図る必要がある」と意見。特に、一般業務委託については、積算基準、積算単価をルール化し、適正な仕様・積算に基づく入札や、適正な予算措置を図るべきとした。
 意見の概要は次の通り。
【現状認識】
 工事については、労務費や一部資材の高騰などもあり、依然として厳しい。過度な競争を強いる入札制度が労務費を圧迫し、結果として技能労働者の賃金の低下を招いているという意見があった。一方で、2014年2月1日の設計労務単価の改訂などで、労働者の賃金は改善されつつある。
 一般業務委託では、清掃業務などに年齢の高い者が多く、最低賃金に近い賃金水準。積算儀準、積算単価がルール化されていないため、仕様が変わらないのに予定価格が下がる、前年度の落札額が予定価格となっているなどの例がある。
【県としての対応策】
 労働者の賃金改善に向け、県として何らかの対応を図ることが必要という点では意見が一致。しかし、公契約条例に積極的な意見と、条例は適切でないとする意見があり、意見の一致は見られなかった。
 公契約条例以外の対応策として意見が一致したのは、@契約額が増額するよう制度見直しを図るA一般業務委託で適正な仕様・積算に基づく入札や予算措置を図る−など。
【公契約条例に関する課題】
 条例の対象となる契約の範囲、適正な賃金下限額の設定(県内の地域差対応)などの検討課題がある。
【今後の方向】
 事業者、労働者双方にとって良いと思われる契約制度を引き続き検討し、整備する必要がある。また、公契約条例の必要性を検証するため、賃金実態調査を継続し、データを蓄積。施行自治体の運用状況を継続調査し、条例の効果や課題を検証する必要がある。