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日本工業経済新聞社(群馬)
2014/06/27

【群馬】「世界遺産ふさわしい街へ」 岩井賢太郎・富岡市長インタビュー

「世界遺産ふさわしい街へ」 岩井賢太郎・富岡市長インタビュー

 4月に見事、富岡市の市長に返り咲いた岩井賢太郎氏。富岡製糸場が世界遺産登録され、公務は多忙を極める。その一方、業界注目の事業「新庁舎建設計画」の見直しなどにも着手するなど、就任以来休みなく市政にあたっている。自身も建設業を経験しており、業界への思い入れは強い。時代とともに建設業を取り巻く環境が変化する中、岩井氏は今の建設業をどう見ているのか、聞いた。

 −市長就任の感想を
 岩井 今回はどうしても岩井でなければ駄目だという市民の声があったと感じている。それだけに1回目とは違う、大変生意気な選挙をやらせていただいた。「岩井賢太郎が必要なら当選させろ」という感じだった。前回は、合併した新市の市長とあって責任を感じてやった。今回は富岡製糸場の世界遺産登録が控えていたこともあり、前回とは、また違った責任を感じている。

 −今後のまちづくりは
 岩井 世界遺産にふさわしい、日本一のまちづくりというのが私のテーマ。皆さんに喜んでいただけるまちが一番だが、これは私一人で、できることではない。まずはお金をかけずに、気持ちの上で日本一を目指していく。来ていただいた方に大きな声であいさつし、気持ちよく帰っていただく。それが、おもてなしの第一歩だと思う。行政と市民が知恵を出し合い、世界遺産があるまちとして、何が必要かを考えてやっていきたい。

 −市の職員に求めること
 岩井 最初、市長になった時は副市長も置かず、職員に直接指示を出した。今回は一つ丸くなるというか、極力そういうことはしない。市は最大のサービス機関。職員みんなが、どうすれば市役所に来た方を気持ちよく送り出せるかを考えてほしい。まずは、しっかりと気持ちの良いあいさつをすること。サービスには、これで終わりということはない。原点に返って、サービスとは何かを考えてもらいたい。

 −建設業経験者の市長からみて、今と当時とで変わったところは
 岩井 建設業は機械に頼る部分も、もちろんあるが、基本的にはマンパワー。そうした中、最近は技術屋さんが徐々に少なくなってきたと感じている。二次製品が出てきたことで工事のやり方も変わった。昔は水路をつくるにしても、カーブのところは上手く曲がるように、メタルではなく木の型枠を使ったり、緩やかになるよう50pのU字溝を使ったり、手間をかけたものだ。時代が変わり、そういう設計を組むことも少なくなった。「効率」というものを考えた結果なのだろう。確かに施工技術は進化しているのだろうが、それと供に本当の技術屋さんが減ってきた気がする。

 −建設業の現状は
 岩井 今は基本的に一つの現場に一人の技術者が付かなければならない。だが、小さい工事にまで専属で付ける必要はないと思っている。工事金額にして5000万円未満については兼務を認めるような方向で考えていきたい。兼務の幅が広がれば、小さい工事の不調も減るだろう。公共事業が締められた時に、建設業に携わる人が随分減った。この先増やせるかといったら、先行きが不透明な中、それも難しいだろう。だとすれば、今いる人で出来るだけ多くの仕事を請け負えるようになるのが望ましい。私が経営者ならそう思う。

 −業者の育成について
 岩井 予定価格の事前公表は徐々に取り止めるつもりだ。事前に公表することで、見積もりも作らずに、仕事を取って下請けに丸投げとなることも考えられる。まずは見積もり意欲を向上させることで、業者のレベルアップにつなげていきたい。市内業者の技術が上がらないために、大きな工事を市外業者ばかりが請け負うということにならないようにしたい。

 −歩切りについて
 岩井 歩切りはやらない。正当な単価があるのに、それを切るのは、いかがなものか。決して正しいことではない。富岡市では、今後も歩切りは行わないように指導していく。

 −新庁舎建設計画の見直しについて
 岩井 全部白紙に戻すことは考えていない。これまでに各方面から意見を聞いたところ、分棟方式が良くないという意見が多かった。私は分棟方式に反対というわけではない。ただ、これから人口が減っていくことを考えた上で施設の規模を考えるべきだ。現在4棟で考えているところを減らす方向で検討していく。今までは二期に分けて建設する計画だったが、一期で建設できるか設計者と協議する。このため設計変更しても完成時期はさほど遅れないと見ている。

 −大澤知事が富岡製糸場の拠点施設建設を前倒しで進める考えを示した
 岩井 今のところ、県から具体的な話を頂いていない。事務レベルにも話がきていないので、状況が分からず困惑している。どこまで計画が決まっているのか電話で知事に確認した。知事は計画を早めたいようだが、こちらも準備がある。造って頂けるのは大変ありがたいが、相談はしっかりしてほしい。

 −建設業者にメッセージを
 岩井 建設業界は公共のインフラを整備することにより景気回復の下支えになっている。それは今も昔も変わっていない。そういった意味で、ぜひ自分の仕事に自信を持ってやってほしい。市も事業を出来るだけ増やして応援していきたいと思っている。

 −休日の過ごし方は
 岩井 今のところ残念ながら休みが無い。でも、休めればゴルフがしたい。体を動かしてることが好きだから、それが一番の休養になる。