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日本工業経済新聞社(群馬)
2014/07/23

【群馬】安中は温泉マーク発祥の地 茂木英子安中市長インタビュー

 群馬県初の女性市長に就任した茂木英子安中市長。富岡製糸場の世界遺産登録を踏まえ「温泉マーク発祥の地であることなど、観光スポットの発信に力を入れていきたい」と意気込む。川を眺めるのは気持ちがいいと話す市長からは、護岸の整備に対して普段から感じていた思いも聞かれ、建設業については「必要不可欠」と強調した。

 −就任から3カ月が経ったが
 茂木 3カ月の間に多くの意見や要望を頂き、世の中には改めていろいろな意見があることに気づいた。今はこうしたインタビューや講演依頼を多く頂き、目まぐるしい日々を過ごしている。皆さまの意見を聞いて、改めて市に必要なことが浮かび上がってきている。

 −街づくりの構想は
 茂木 一言でいうならば、誰もが健康で長生きできる街を目指していきたい。少子高齢化が進む中、市民にはずっと元気でいてもらいたい。高齢者には、自身の経験や知識を発揮できる場を設ける。後進に何かを教えることは喜びになる。農業をやった人なら野菜の作り方、パソコンが得意な人ならパソコン教室。手先が器用な人であれば、子どものおもちゃ作りもいい。皆さんで楽しく集まることで、活気あふれる地域にしていければと思っている。市民の声が市を良くしていく。市民の声をよく聞き、誇りが持てる市を形成していきたい。

 −市内には観光スポットも多い
 茂木 富岡市、安中市、県境を越えて軽井沢町の2市1町で4月から観光面での連携を始めた。安中には磯部温泉という、くつろげる宿がある。ここは「温泉マーク」発祥の地。それを記した石碑もあるが、今ひとつ知られていないので、これから発信力を高めていきたい。あと松井田地区にある碓氷関所。全国でも江戸時代の関所がそのまま残っているのは、ここだけ。これは国指定レベルのものなので、この発信にも力を入れていく。山の中に広がる大きなめがね橋(碓氷第三橋梁)も観光としては大きな魅力。軽井沢からめがね橋を経て富岡へ。年間800万人とも言われる軽井沢の観光客の1割でも来てくれればうれしい。富岡製糸場を見た後は安中の温泉に1泊してもらう。観光者に気の利いたおもてなしができるよう、女性目線で考えていきたい。

 −市の職員に求めることは
 茂木 職員は毎日市民に接しているので、いろいろな声を聞いているはず。その声を基に、企画・立案・実行が積極的にできる職員であってほしい。「こういう人が最近増えているから、こういうことをしたら助かるのでは」ということが、市民と接している職員であれば分かるはず。それを実行するには制約もあり、ジレンマもあるだろう。だが、現場を知っている人がそうした発信力を持てば、市民にとって得になることができる。そういう職員が増えれば、市役所のサービスはもっともっと良くなる。職員自身がアイデアや夢を持つことは、とても良いことだと思う。

 −ハード整備に関して
 茂木 東日本大震災以降、インフラの維持管理は重要な課題となっている。そういう意味で、これまで以上に防災・減災を考えたハード整備は重要だと思う。市では橋梁などの長寿命化計画を策定して、着々と整備を進めていく。その一方、生活にゆとりや潤いをもたらすような整備も必要とされる。例えば、安中市には豊かな水源があるが、コンクリートブロックで護岸を覆うことにより、川に降りられないところもある。護岸整備は大切だが、子どもが遊べるような場所は残したい。最近は、突発的な豪雨による事故も他県で起きている。護岸には、たくさんの階段を設け、避難しやすいようにするべき。子どもや大人が川を眺めて気持ち良く過ごせるような整備を考えていきたい。

 −火災で休館となっている峠の湯について
 茂木 峠の湯の再建については市長になってすぐに、いろいろな方からお願いされた。新たな施設は、防災機能も強化していきたいと考えている。現在は、工事に向けた準備を進めているところで、秋口には営業再開に向けた具体的な計画が明らかになってくるだろう。

 −建設業の現状をどう見ているのか
 茂木 建設業の方とも意見交換させてもらうことがあるが、その中で出る課題としては、高齢化、そして若者の入職が少ないこと。それにより技術の伝承ができないとの声を聞く。群馬県建設業協会では最近、建設業をアピールする冊子を作ったようなので、それをぜひ安中市でも活用させてもらい、業界をPRしていきたい。担当課には冊子を入手し、わたしにも一冊用意してくれるように言ってある。

 −建設業者へメッセージを
 茂木 建設業は必要不可欠な存在。だから、元気になってもらいたい。特に市内業者には頑張ってもらいたい。建設工事をしていく上で、公開できる情報は公開して、皆さんを支援していきたいとも考えている。災害で道路が寸断されたとなれば、人命にもかかわってくる。だから、特に地元の業者には元気でいてほしい。また、ぜひ女性も働きやすい環境をつくってもらいたい。最近は、女性も重機を扱うと聞いている。女性が入れば、男性もさらに頑張ってくれる。女性が30sのものを運ぶのは大変だが、半分の15sにしてもらえれば運べる。女性は根気もあるので、最終的には同じだけの仕事をこなせると思う。工夫次第で女性が働きやすいようになればと願っている。

 −好きな言葉は
 茂木 「一生懸命」。一生懸命は誰でもできること。私はこれまで市議、県議を経てきた。大変なこともたくさんあったが、とにかく一生懸命やることで乗り越えてきた。一生懸命やることで、みんなが付いてきてくれ応援してくれた。一生懸命やるということが、まずは、わたしにできることだと思っている。

 −休日の過ごし方は
 茂木 今のところ公務が忙しく、休みは一日だけ。その日は同窓会に行ってきた。これから休みができたら、自然が好きなので里山を散策したい。歩きながら、山野草を見たりするのが楽しい。これから秋にかけてツリフネソウなど可憐な花が咲くので楽しみにしている。今は山野草が載っている本を手元に置いて、楽しんでいる。