トップページお知らせ >地方ニュース

お知らせ

地方ニュース

建通新聞社
2014/09/01

【大阪】4線事業化厳しく 多様な交通システム検討

大阪市鉄道ネットワーク審議会(会長・斎藤峻彦近畿大学名誉教授)は8月28日、市交通事業で未着手の地下鉄計画路線の整備の在り方について答申した。対象路線は、今里筋線、長堀鶴見緑地線、千日前線の延伸、敷津長吉線の新設の4路線。事業化の可能性はいずれも、公営、民営にかかわらず極めて厳しいとした。一方で、需要に見合った多様な公共交通システム(LRT、BRT)の導入を検討する必要があると結論付けた。
 全路線で事業化の可能性が厳しくなった最大の原因について、斎藤会長は「4路線の新線区間は、起終点が大阪湾や大和川などの近くにあり、近郊輸送の機能に欠ける」と説明。特に、今里筋線と長堀鶴見緑地線の延伸計画でその傾向が強く、1日24万人を運ぶ御堂筋線に対して、両線では1日最大で1万人程度の利用しか見込めなかった。
 また、今里筋線、長堀鶴見緑地線、敷津長吉線の3路線では、40年以内に累積欠損を解消するという収支採算性の必要条件を満たすこともできず、地下鉄として整備する場合は、さらなる建設・運営コストの削減、国の補助制度の抜本的な改善、運賃の値上げ、需要の積み増し、毎年の運営補助などの組み合わせが必要になるとした。
 千日前線の延伸では、地下鉄の導入空間となる道路が整備されていないという基本的な課題が残されたままとなっていた。
 ただ、これらの沿線地域は全体的に人口密度が高く、高齢者も多い。都心部とは異なる特性を持っている。このため、地下鉄ほどの大量輸送は必要ないが、各地域の特性を踏まえ、まちの活性化への取り組みと併せて公共交通を改善していくことが望ましいと答申。地下鉄に限定することなく多様な公共交通システムとして、LRTやBRTなどの導入の可能性を探る必要性を盛り込んだ。
 審議会に出席した市都市計画局の川田均局長は、「公共交通システムと土地利用、まちづくりを一緒に考えていく必要がある。LRT、BRTについては、まずは道路空間の再編といった観点から踏み込んだ形で検討していきたい」と語った。
 市交通局の藤本昌信局長は、「今後の民営化の議論や来年度予定される国の交通審議会の次期答申に向け、関係局と連携して市としての考え方などの整理を急ぎたい」とした。