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北海道建設新聞社
2014/10/10

【北海道】森林管理局の林道工事で入札中止6割減−早期発注や単価見直しで 

 北海道森林管理局が2014年度上半期(4―9月)に発注した林道工事で、入札参加者が集まらず中止になったのは37件にとどまり、前年度同期に比べて約6割減ったことが、本紙が集計した開札結果で明らかになった。14年度から本格化させた積算単価の見直しや早期発注などの入札不調対策が功を奏している。ただ、まだ実態と隔たりのある単価の改善などを望む建設業者からの声も聞こえる。同局は、入札不調をなくして事業の円滑な推進を図るため、さらなる対策を講じたい考えだ。
 13年度はアベノミクスの影響や12年度補正予算もあり、上半期発注の治山・林道工事は前年度同期比98件増の318件に上った。
 工事が増えた一方で、人手や資材・機材不足が浮き彫りとなった。これにより、建設業者はより施工条件や効率の良い工事を選択するようになり、入札参加を見送る事態が相次いだ。13年度上半期の林道工事の中止は97件を数えた。
 これを受けて森林管理局は14年度、入札不調・中止対策を本格化した。早期発注に努め、林道工事で13年4―5月が48件だったのに対し、14年度同期は77件に増加。また、主任技術者1人が掛け持ちできる隣接工事の距離を5`から10`に拡大した。
 この結果、14年度上半期に発注した林道工事171件のうち不調は15件で前年度同期と同数だったものの、中止は37件にとどまった。
 これについて、主に道北での工事を受注している建設業者は「早期発注によって冬季に及ぶ工事が減ったためではないか。林道工事は、特に適切な工期設定が必要不可欠」と、早期発注の重要性を強調する。
 ただ、依然として林道工事を敬遠する業者は少なくない。幅員の狭い林道に資材を運ぶ必要があるため、どうしても運搬費がかさんだり、平地の工事と比べて作業の効率性が劣るためだ。これは工事量増加や人手不足が深刻化する以前からの課題でもある。
 道森林管理局は、こうした林道工事の特性を踏まえ、他官庁が発注する工事の合間に受注される場合が多いと分析。現状では「中止となった場合、工期やロットを見直して再公告し、落札されることが多い」と話す。
 道東で林道工事を手掛ける建設業者は「林道新設や改良などの主な工事はいいが、これに付随する草刈り、砂利敷きなどの維持工事での利益は低い。そのため入札参加を見合わす業者が多いのでは」と指摘。適正な利益確保に向け、実態に即した積算単価の必要性を説く。
 国産・道産木材の利活用が求められている中、円滑な入札の執行と事業の推進を図るためには、現場の声を可能な限り反映させることが必要となっている。