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建通新聞社四国
2014/11/14

【香川】五名・綾川ダム群連携事業検証再開

 学識経験者や関係地方公共団体(東かがわ市、坂出市、丸亀市、綾川町)、検討主体(香川県)で構成する第5回「香川県ダム検証に係る検討委員会」(白木渡委員長)が10日、高松市内で開かれ、3年ぶりとなる五名ダム再開発と綾川ダム群連携事業の検証を開始した。ダム検証委ではこれまで椛川ダムを主体に4回の審議・検討を重ねてきたが、2011年7月に同ダムを「現計画通りで継続し事業を進める」とした県の対応方針を妥当とした結論を示した。同ダムはことし10月15日にダム本体工事契約に至ったことから2ダム事業の検証を再開した。検証対象ダムの総合的な評価などにより県、国土交通省の事業継続の対応方針が決定すれば、将来のダム着工など事業の具体化につながる。
 今回のダム検証委には検証対象ダムの概要やこれまでの経緯などが示された。
 五名ダム再開発は、東かがわ市の湊川水系(流路延長約18`、流域面積約51・6平方`)の既設五名ダム(有効貯水容量53・6万立方b)の下流に堤高約56b、堤頂長約242b、堤体積約18万立方bの重力式コンクリートダムを新規に建設する。
 総貯水容量は約675立方b、有効貯水容量約640万立方b。洪水調節は自然調節方式で、洪水調節容量約240万立方b、利水容量は約400万立方b(流水の正常な機能維持約210万立方b、水道用水約190万立方b)。既設ダムでは洪水調節容量が小さいため、おおむね50年に1回程度発生する洪水に対応できるよう洪水調節容量を拡大。併せて既得の農業用水等の安定した取水を確保し魚類などの生息環境を守る流水の正常な機能の維持を、おおむね10年に1回程度発生する渇水時対応としている。また、東かがわ市に新たに日量最大3000立方bの水道水を供給する―などが事業目的。
 1989年から予備調査をスタートし2002年8月に湊川水系河川整備計画を策定。04年10月に台風23号により湊川流域に甚大な被害が発生したことなどから、05年から建設事業に移行した。しかし10年9月に国土交通大臣から「ダム事業の検証に係る検討」の要請により、香川県では同ダム再開発を含む椛川ダム、綾川ダム群連携事業の3ダム事業が検証対象となった。
 今回のダム検証では、全国的に集中豪雨による洪水発生頻度が高まっているため、04年台風23号による洪水の実績降雨を考慮した治水計画の変更の必要性や、市の水道計画の見直し(給水区域内人口の減少傾向による水需要の減少)により、新規利水量を日量2000立方b
に減少するダム規模変更などの課題も示された。
 綾川水系綾川ダム群連携事業は、既設長柄ダム(綾川町)の堤高を30bから約42bに嵩上げし、堤頂長も124bから約190b、堤体積を約2・9万立方bから約6・7万立方bに増設する。総貯水容量も421万立方bから約980立方bに拡大、有効貯水容量は411万立方bから約880万立方bに拡大、70年に1回程度発生するような洪水に対応する。
 また、田万ダムと長柄ダムをつなぐ延長1・8`の導水トンネル(綾川町)を建設する計画。ダム検証ではゲリラ豪雨に対応し貯留方式(夏季制限水位方式)の見直しを含めた検討や、利水面では近年の水文データを追加し導水トンネル効果の点検や長柄ダムのさらなる嵩上げで経済的に有利な代替案の検討課題も示された。
 今後ダム検証委では2ダムを現地視察した上で本年度2〜3回程度の会合を開く予定。