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日本工業経済新聞社(茨城)
2014/12/25

【茨城】 県環境アセス審で常陸那珂と鹿島へ火力発電所を審議

 県の環境影響評価審査会(委員長・天野一男茨城大学教授)が開かれ、常陸那珂共同火力発電所1号機と鹿島火力発電所2号機の建設計画について、両事業者が環境影響評価方法書への意見を適切に対応しているか審査した。両施設とも約65万kW級の規模。来年2月初旬には審査会を経て知事へ答申し、秋ごろに環境影響評価準備書、2016年度には環境影響評価書を作成し、17年度ごろから着工を見込む。
 方法書によると、2つの発電所はともに電力の安定供給を確保するため、経済性や安定性に優れた石炭を燃料として導入。出力は約65万kW程度を想定。さらに利用可能な最新技術となる超々臨界圧(USC)発電技術を導入する。煙突は高さ180m程度。
 そのうち常陸那珂共同火力発電所1号機は、東京電力鰹陸那珂火力発電所の構内(東海村照沼768−23)に建設する。主な工事は、基礎・建屋工事、蒸気タービン発電機などを収容する建屋、道路、排水といった外溝構造物など。工期は基礎・建屋21カ月、機器据付21カ月、試運転11カ月を見込む。21年前半から運転予定。
 事業者は、中部電力鰍ニ東京電力鰍フ共同出資会社鰹陸那珂ジェネレーション(東京都台東区、栗山章社長)。発電電力のうち約38万kWは東京電力鰍ノ、その他は中部電力鰍ネどへ売電予定。
 県では、10月2日から11月4日にかけて方法書を縦覧し住民や関係機関から意見を求めた。市町村長からは、環境保全や大気質・騒音、水質といった項目から意見があった。対象区域周辺の住居や市街地の大半が20m以上の高台にあることから、適切な煙突の高さを再検討するよう求められ、これに対し事業者は煙突高180mの妥当性を確認するとした。また残土について発生予測、埋め戻し量、盛土量を予測し、環境への影響に配慮するよう意見があった。
 一方、鹿島火力発電所2号機は、鹿島製鐵所構内(鹿嶋市光3)に建設予定。運転中の石炭火力発電所に隣接する形で新たに設置する。そのため揚運炭設備・灰処理出荷設備などの一部インフラが整っている。
 主な建屋および建築設備は、ボイラー架橋と煙突、タービン・発電機設備のタービン建屋、放水設備の取水管・放水口など。基礎工事12カ月、本体工事27カ月、建屋工事12カ月、取水・放水口工事28カ月。20年7月ごろから運転を見込む。
 事業者は、新日鐵住金鰍ニ電源開発鰍ェ共同出資した鹿島パワー梶i鹿嶋市光3、和南城寿一社長)。
 9月25日から10月24日にかけて方法書の縦覧が行われ、市町村長が大気環境の調査位置について意見。建設地の風下に位置するため、気象条件に留意し調査に適切な地点を選定するよう求めた。
 そのほか審議会では、水源である北浦への取水の影響を懸念。方法書によれば一日当たりの用水は3500立方m。事業者は従来からの契約水量の範囲内で運用するとした。また二酸化炭素の想定排出量については、現在設計中であることから準備書以降の図書で明らかにするとした。
 今後は、来年2月初旬に開かれる審査会を経て知事へ答申する。答申後、知事から両事業者に意見が提出される。来年度には準備書、再来年度には評価書をそれぞれ審議し、早ければ2017年度から着工が見込まれる。