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建通新聞社(神奈川)
2015/03/12

【神奈川】神奈川県水素社会実現ロードマップ作成 水素ステーション25年度までに50カ所

 県と政令市、自動車メーカー、水素関連事業者などで構成するかながわ次世代自動車普及推進協議会(事務局・神奈川県)は、「神奈川県水素社会実現ロードマップ」を作成した。燃料電池自動車の普及に合わせ、水素ステーションの数を2020年度までに25カ所、25年度までに50カ所程度とする目標。定置用燃料電池の普及も図る。
 国のロードマップで示す40年ころを見通しながら、まずは「水素社会」の実現を先導する燃料電池自動車とすでに実用化段階にある定置用燃料電池の普及に関する目標や取り組みを定めることとし、その後の協議の内容や結果などを反映させて、水素エネルギー全般にわたる内容を段階的に拡充していく。今後の取り組みの進捗や目標間達成状況を踏まえて、おおむね5年ごとに改定するほか、必要に応じて適時改定する。
 「燃料電池自動車の普及目標」は20年までに5000台とする。これに対する水素ステーションの整備は25カ所が目標。3政令市から10分程度、それ以外の地域から15分程度で到達できる基準。ステーションの位置を柔軟に変更できる移動式水素ステーションも積極的に活用するとしている。
 普及のスピードが早くなる25年度までの燃料電池自動車の普及目標は2万〜10万台。これに対する水素ステーションの整備は25〜50カ所が目標。2万台までは25カ所の水素ステーションで対応できるとする。整備は全て固定式水素ステーション。
 燃料電池システムや水素ステーションなどのコスト縮減などを図るため、技術開発に県としての支援を実施。また、技術開発、製品開発を行う中小企業に対して補助や融資を行う。
 普及に向けては、公用車(燃料電池自動車)を防災訓練などで活用。新たに、バスやタクシーなどへの活用の在り方を検討する。
 燃料電池の導入分野拡大に向けては、フォークリフト、鉄道車両などの多様な輸送用途に活用していくため、地域における導入実証実験などの支援策を検討。県内では、京浜臨海部などに冷凍冷蔵倉庫などが集積しており、さがみ縦貫自動車道などの基幹高速道路の建設・計画が進んでいることから、そうした倉庫などでのモデル事業が有望としている。
 水素ステーションの戦略的な整備を行うため、県は利用可能な土地情報の提供などに努め、設置後の場所について積極的に周知する。また、固定型水素ステーションを災害時のエネルギーを確保する防災拠点に位置付けることや、地域のエネルギー供給拠点として活用することも想定する。

※マンションへの燃料電池普及啓発

 「定置用燃料電池の普及目標」は、30年に県内全世帯の1割普及に当たる43万7000台を目指す。その過程での20年度の目標は10万3000台。
 燃料電池システムのコスト縮減などを図るため、技術開発に県としての支援を実施。また、技術開発、製品開発を行う中小企業に対して補助や融資を行う。
 家庭用燃料電池の普及啓発を図り、集合住宅などへの普及拡大に向けては、課題や効果的な推進策の在り方について、新たにガス事業者、デベロッパー、マンション管理会社などを交えて検討を進める。
 また、業務・産業用燃料電池を新たに県庁舎や市庁舎に率先導入し、省エネ対策、防災機能強化を図るとともに、その効果を積極的に普及啓発する。
 「分散型電源」としての期待もあり、水素ステーション⇒家庭用燃料電池⇒地域への融通−という仕組みの構築を目指し、方策を検討する。
 定置用燃料電池は、水素と酸素を電気化学反応させて電気エネルギーを直接取り出すため、エネルギーロスが少ないとされている。