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建通新聞社(東京)
2015/03/18

【東京】都 老朽マンション建替で新たな支援制度検討

 東京都都市整備局は、老朽化したマンションの建て替えを促すための新たな制度の構築に乗り出す。これに先立ち2015年度、老朽マンションの建て替えをまちづくりと一体的に進めるモデル事業を開始する。駅周辺の再開発や緊急輸送道路沿道建築物の耐震化、大規模住宅団地の再生などに積極的に取り組む意思のある区市を対象に4月に公募手続きを開始し、今夏に複数のモデル地区を選定。まちづくり計画の策定を財政的・技術的に支援する中で課題を洗い出し、「都市開発諸制度」を活用した新たな支援策を検討していく。
 都内では約165万戸ある分譲マンションが主要な居住形態として普及している一方、10年後には築後40年以上の建物が42万戸を超えるという。また、築40年以上の既存マンションのうち約4割が、現行の容積率や高さ制限などにより“既存不適格”となっており、適切な管理や円滑な建て替えが求められている。
 都の設置している住宅政策審議会マンション部会が2月にまとめた中間報告では、老朽マンションの再生について▽改修や耐震化に対する支援制度の強化▽都市計画制度の活用などまちづくりと連携した建て替えを促進する仕組みの充実▽共同建て替えや団地型マンションの再生に対する合意形成初期段階の取り組みへの支援▽マンション敷地売却制度の効果的活用に向けた支援策の検討―の必要性を指摘した。
 16日に開かれた都議会予算特別委員会で、これらの対応を求める小宮安里氏(都議会自民党)の質問に安井順一都市整備局長は「市街地の環境に配慮しながら、例えば敷地の共同化などを条件に規制を緩和するなど、まちづくりと連携して建て替えに向けた合意形成を支援することが有効」と述べた上で、「耐震性の低いマンションが一定程度集積しており、市街地の安全性や活力の低下がみられる地域を対象に、まちづくりの課題にも対応しつつ都市計画の規制緩和が可能となる都市開発諸制度を活用し、マンションの建て替えなどを支援・促進する新たな制度を検討していく」との考えを示した。
 これに先立ち15年度に実施する先行モデル事業では、「駅周辺の再開発や緊急輸送道路沿道建築物の耐震化、大規模住宅団地の再生などに積極的に取り組む意思のある区市に対し、老朽マンションの建て替えを含むまちづくり計画の策定に関する財政的・技術的支援を行っていく」(安井局長)考えだ。区市からの提案募集を4月に開始し、夏までに数地区のモデル事業実施地区を選定。まちづくり計画の策定支援を通じてマンション建て替えに伴う課題を抽出し、新たな制度の検討に反映する。住宅政策審議会での議論なども経て、16年度中に新たな制度を構築する。