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建通新聞社四国
2015/05/01

【徳島】上下部工剛結構造をP4〜P5で採用 吉野川橋梁 NEXCO西日本

 西日本高速道路(NEXCO西日本)四国支社は、4月27日に徳島市内で開催した「四国横断自動車道吉野川渡河部の環境保全に関する検討会」(座長・山中英生徳島大学院教授)で橋梁設計(技術検討結果)を報告した。検討会では昨年8月の第4回会合で示した橋梁設計方針に対する技術的検討結果(標準案として採用)を説明し、橋梁設計の承認などを求めた。維持管理面から上下部工剛結構造をP4橋脚〜P9橋脚で採用するほか、耐震・耐久性や景観性などの向上を図るため、渡河部と陸上部とのノージョイント化などを図る。順調なら11月ごろの下部工着手を見込んでおり、早期発注に向け必要な手続きを急いでいく。
 橋梁設計の方針は、5つのコンセプトとコンセプトごとの検討項目で構成。@吉野川渡河部の環境保全に配慮した構造と施工(基礎構造および橋脚施工時の検討、上部工施工時の検討)A巨大地震(南海トラフ地震など)を想定した耐震性能の確保(南海トラフを想定した耐震設計、軟弱層を適切に評価した基礎構造の検討、陸上部を含めた連続化の検討、上下部工剛結構造の検討)B塩害環境などに対する耐久性の確保(耐久性の高い細部構造の検討、高強度コンクリートの採用検討、塩害に強い鋼材の採用検討)CCO2削減などの環境負荷の低減(リサイクル材料の採用検討、プレキャスト化によるCO2削減効果の検討)D風景とのバランスを考慮した景観性の検討(圧迫感の軽減、美しいフォルムの形成、付属部などの配慮)−を示し、ライフサイクルコストにも着目した上で設計を進めることとしていた。
 橋梁の当初計画概要は、橋長1520b、幅員10・2bのPC12径間連続箱桁橋(橋脚数11基)で、架設桁を使った張り出し架設工法を採用するとしていたが、設計報告では陸上部(PRC6径間連続2主版桁橋延長173b)も含めた1693・5bのPC15径間連続箱桁橋(日本最長)を採用。上部工架設は、より施工期間を短縮できる補助桁併用張出し架設を採用することにした。
 下部工については、基礎に円形断面と高強度材料(縞鋼板を使用した高耐力継手)を採用。大規模地震に対する性能アップと基礎断面縮小化(38本、204平方b)による工期短縮を実現し、鳥類の飛行影響を軽減する。橋脚柱断面には、中空断面(断面積50平方b)と高強度材料(コンクリート50N/平方_b、主鉄筋SD490)を採用し、柱断面の最小化を図る。施工に当たっては浚渫量の削減と河川内施工期間の短縮を図り、補助桁によるコンクリート打設を採用することにしている。
 また、上部工断面は、内・外ケーブル併用構造(PC鋼材)の採用と高強度材料を使用することで、主桁断面の縮小化(桁高10b→8b)を実現。結果的に桁下空間の確保で鳥類の飛行への影響を軽減する。上部工コンクリート断面では、十分なかぶり厚さ(45_→70_)と斜ウェブ・面取り(主桁表面積を3%削減)を採用するなどし、塩害環境に対する高い耐久性を確保する。
 このほか、景観上の配慮から橋脚形状の小判型化や点検ピット構造を採用(検査路の不設置)するほか、多重防さび対策による高耐久性の向上、床板一体型排水溝の採用、エポキシ樹脂鉄筋の使用による鋼材腐食の抑制、コンクリートへのフライアッシュの利用やプレキャスト化によるCO2削減なども採用・検討する。
 設計はエイト日本技術開発(岡山市北区)が担当。検討会では環境モニタリング調査や工事の工程の変更なども示し、下部工施工について、当初2渇水期(2015〜16年度と16〜17年度)としていたのを4渇水期(15〜16、16〜17、17〜18、18年度)に変更(完成時期も18年12月に)。上部工施工の着手時期を17年4月から17年1月に前倒しする(架設工完了は19年10月ごろ)。それに合わせて下部工事後調査や上部工事後調査の環境モニタリング調査を2年間実施することにしている。