トップページお知らせ >地方ニュース

お知らせ

地方ニュース

建通新聞社(東京)
2015/05/20

【東京】下村文科相 新国立は「屋根なし」で

 下村博文文部科学相が18日、東京都庁に舛添要一知事を訪ね、新国立競技場について「(2020年のオリンピック・パラリンピック競技大会前の)19年のラグビーワールドカップ(W杯)までに完成させるため、屋根なしで建設する」との考えを明らかにした。8万人としている常設の観客席を「縮小することも検討しており、建設共同企業体との見積もり作業や協議を5月中に終わらせる」とも説明した上で、費用の一部負担を要請した。舛添知事は「費用負担の内訳など現状では都民に十分に説明できない」と即答を避け、「都民が(費用負担の)税金を使っても良いと思ってもらえるよう、正確な情報を早く開示すべきだ」と注文を付けた。
 下村文科相は、国立競技場の解体工事の契約の遅れや、資材や人件費の高騰を背景に、新国立競技場の建設費やスケジュールの確定が遅れたと説明。文科省と受注者であるJVとの協議の中で「19年のラグビーW杯までに完成させるという確約を得た」と述べる一方、「限られた工期内に完成させるため、(開閉式の)膜屋根なしで建設し、五輪後に施工する」との考えを明らかにした。
 これに対し舛添知事は、18日までに都に対しての説明・要請などがなかったことに不信感を示すとともに、「レガシー(都民に残す遺産)の視点で考えると、五輪後に8万人もの客席を埋めることは容易ではない」と施設の規模に危機感を表明。さらに、自身が専門家に確認した新国立競技場の建設費の試算が、1600億円台と見積もっていた日本スポーツ振興センター(JSC)の試算を大きく上回る「2500億円以上」となったことなども示した上で、「協力は惜しまないが、いくら掛かるのか、いつどのような形で完成するのか分からないのでは、費用負担の説明が都民にできない」と述べた。
 下村文科相は「(観客席の一部を仮設として)規模を縮小することも視野に、5月中にコストの話を確定し、都の負担額とその理由も含めてあらためて説明する」と答え、理解を求めた。
 会談後、会見に応じた舛添知事は「法律上、都が国に寄付できるのは競技場への連絡橋の整備費用などに限られており、500億円以上と言われている国の要請額の根拠にはならない。国は早期に費用負担の理由や内訳を明示し、堂々と国民の前で論議すべきだ」と話した。