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建通新聞社(中部)
2015/06/09

【三重】尾鷲建設事務所 柘植武志所長インタビュー

 紀伊半島では着実にミッシングリンクの解消が進んでおり、首都圏や関西圏、中京圏などから尾鷲市までが高速道路で結ばれ、観光客増加による地域の活性化だけでなく、“尾鷲のさかな”など地域の主要産業の安定供給、地域医療の変化による安全安心の確保に効果を発揮している。しかし、その反面、尾鷲建設事務所管内では、公共事業量が激減し、地域雇用を支える基幹産業である建設業が存続の危機に立たされている。そこで、「地域の建設業は最重要視すべき業界」との認識を持つ三重県尾鷲建設事務所の柘植武志所長に事業量の確保に対する考え方や2015年度の事業展望などを聞いた。
 ――まずは、事業量の減少をどのように捉えているか。
 「4月に当事務所に赴任して感じたことは、建設業界の活気が少ないということだ。これは誰が良い悪いという問題ではなく、事業量が少ないことが一つの要因ではないかと思う。災害や高速道路、公園関連事業が一区切りしたため、ここ2、3年事業量が減少していることは事実である。就任して2カ月余り経つが、新規事業の立ち上げを考えた時に必ず課題として浮き上がってくるのが、公図混乱やそもそも公図がないといった用地問題である。このような用地問題があるから、事業化はできないと考えてしまうと、それ以上前には進まない。事業量が少ないと、当然、工事の発注量が少なくなり、建設業界も活気がなくなり、地域の活性化がなくなっていくように思える」
 ――事業量確保に対する考え方を伺いたい。
 「用地問題を解決し、少しでも事業量を確保するためには、建設事務所内の職員の意識向上は言うまでもないが、対外関係との連携強化が必要だ。具体的には、市町と建設業界との連携である。市町は地域に密着した行政体であり、事業化に必要なさまざまな情報を有している。また、建設業界は日々の現場周辺で、既設公共施設の状況を常に専門的技術的な目で、施設の異常の有無を把握している。これら2者との連携を図り、互いの情報共有を行うことが、まず、第一歩だと思う」
 ――事業量の減少により存続の危機にある建設業界については。
 「地域の建設業は、最重要視すべき業界である。なぜなら、地域の災害時などの安全・安心の確保や地域雇用を支える産業として重要な役割を担っているからである。特に当管内は日本でも有数の豪雨地域であり、過去に起こった幾つかの風水害の時でも、建設業者の緊急対応により早期の災害復旧が可能になった。建設業界が損得勘定なしに、道路・河川などの応急復旧や河川堆積土砂の撤去など、復旧に努めた結果だ。地域を救ってくれた建設業を衰退させてはならないという強い思いを持っている」
 ――では、15年度の事業について聞きたい。道路事業から。
 「道路改良関係では、紀北町紀伊長島区の県道長島港古里線で継続して工事を推進する。同町同区の国道422号と同町海山区の県道矢口浦上里線で事業推進を図る。橋梁関係では、尾鷲市内の国道311号で古川橋架け替えに向けた事業を進めるため、測量・設計に取り組む。また、紀北町海山区の相賀と引本地区において、災害時に孤立化の防止および物資輸送面から重要な橋梁である県道須賀利港相賀停車場線の相賀橋(橋長132b)の改築事業に向け、測量・設計を実施する予定だ。街路関係では、重要港湾の尾鷲港と国道42号および東紀州広域防災拠点を結ぶ都市計画道路・尾鷲港新田線の新規事業化に取り組む」
 ――河川、海岸、公園事業は。
 「河川関係では、銚子川・船津川の河口閉塞(へいそく)対策として、継続して河口掘削を行うとともに、効果的な対策を検討すべく本年度は、地形測量などの現況調査を実施していく。海岸関係では、紀北町の長島港海岸の中の島地区で継続して堤防の整備を進め、公園関係では、紀北町の熊野灘臨海公園の城の浜地区でテニスコートの改築と長寿命化計画に基づいて施設の更新を行う」
 ――砂防事業を。
 「砂防関係では、尾鷲市の向山谷川と紀北町紀伊長島区の楠木谷川で継続して事業を進める。昨年度、新規事業化した紀北町海山区の寺の谷で工事着手を目指す。急傾斜地崩壊対策関係では、尾鷲市の中井浦2地区と紀北町紀伊長島区の長島地区で継続して事業を進める。尾鷲市の宮ノ上地区と紀北町紀伊長島区の西町地区においては、測量・設計などを行い、今後の新規事業化に向けた準備を進める」
 ――最後に管内の課題は。
 「既設県管理施設の老朽化対策や災害に備えたインフラ整備が急がれている。昨年度、管内全域で土砂災害防止法に基づく土砂災害警戒区域・土砂災害特別警戒区域の指定は完了したものの、砂災害危険箇所における避難路などを保全するための急傾斜施設の整備、土石流から人命や財産を守るための砂防ダムの整備、豪雨などによる洪水被害の防止・軽減のための河川堆積土砂の撤去が課題である」

提供:建通新聞社中部支社三重支局