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福島建設工業新聞社
2015/06/23

【福島】全建賞に本県5事業/事業遂行へ種々の取り組み

 全日本建設技術協会(全建・松田芳夫会長)の26年度全建賞が決定した。本県から@只見川等河川災害復旧受託工事=実施機関・北陸地方整備局阿賀川河川事務所A平成23年災 いわき石川線上釜戸工区 公共災害復旧工事(道路)=いわき建設事務所B夏井地区海岸 高潮対策事業=同C岩渕地区造成宅地滑動崩落緊急対策事業=須賀川市D復興公営住宅整備事業(年貢町団地)=会津若松建設事務所の5事業が受賞。「只見川…」以外の4事業は、今年度設けた東日本大震災の復旧・復興事業特別枠で選ばれた。厳しい施工条件の克服、工期短縮のための創意工夫などの取り組みが評価された。表彰式は26日、東京・千代田区のアルカディア市ヶ谷で行われる。
 建設技術発展への貢献を目的に、全建が昭和28年に創設した表彰。建設技術の活用と公共事業の進め方や運用の工夫などにより、秀でた成果が得られた事業や取り組みなどを選定し、その実施機関を表彰している。今回62回目で、通常枠60事業のほかに、東日本大震災の復旧・復興工事本格化に伴い復旧・復興関連案件を別枠化。329事業の応募があった中から計77事業を選定した。
 本県の事業は5件が選定された。「只見川等河川災害復旧受託工事」は通常枠・河川部門での受賞。23年新潟・福島豪雨で被災した阿賀川と只見川の災害復旧事業で、事業期間23年10月28日〜26年3月26日。河川管理者である県の要請により、北陸地整が事業実施を受託、代行実施した。区間単位での工事実施の包括委託(全42カ所、総延長5215b)で、限られた工期と豪雪地帯の厳しい施工条件を克服。無事故で工事を完成させた点が評価された。
 他4事業は特別枠での受賞。「平成23年災 いわき石川線上釜戸工区 公共災害復旧工事(道路)」は、東日本大震災の最大余震で発生した大規模崩落の復旧で、震災と原発事故直後の混乱期に、応急工事として仮設道路を80日の短工期で完成。恒久対策工事でも、仮設道路を4段階に切り替える複雑な施工計画を、綿密な工程・現場管理によって円滑に実施し、効率的な施工を図った。事業期間23年4月〜25年8月。事業費約21億4000万円。応急工事として仮設道路463・5b、切土工2万3700立方b。恒久対策で延長286b、切土工約19万立方b、グラウンドアンカー工575本を施工した。
 特別枠・河川部門の「夏井地区海岸 高潮対策事業」は無堤区間920bの堤防新設工事(事業期間24年11月〜25年11月)。ダム技術であるCSG工法を、国内で初めて海岸堤防に適用し、震災で発生したコンクリートがれきを活用して施工。堤防本体完成までの工期を約4カ月短縮させた。CSGの剛性により、大規模津波に対して大きな抵抗力を発揮する「粘り強い構造」の堤防形式とし、磐城海岸県立自然公園内の堤防として環境や景観にも配慮。25年度の土木学会賞も受賞している。事業費10億9800万円。CSGの採用で約1割縮減した。
 「岩渕地区造成宅地滑動崩落緊急対策事業」は都市部門で選定。東日本大震災により生じた擁壁等の被害で、盛土上の建物や近接する市道への影響を防止するため、早急な対応が必要とされたことから、滑動崩落対策工を実施。既存の構造物と対策施設を一体化させて、工期の短縮につなげた。実施期間25年3月26日〜26年7月30日。事業費6600万円。第1期工事で抑止杭工41本(H型鋼)、加圧コンクリート棚板工190枚、2期工事でグラウンドアンカー11〜12b10本、吹付法枠工58bを施工した。
 住宅部門「復興公営住宅・年貢町団地」は、原子力災害の避難者向けに県が、第2次県復興公営住宅整備計画に基づき会津若松市に建設した。2・3号棟は県の復興公営住宅では初めての木造で、職人・資材不足を克服。可能な限り県産材を使用しながら、プレカット工法によって施工の効率化を図るなどして工期を短縮。目標の27年1月入居を果たした。会津の気候を考慮して高い断熱性を確保、サンルームや空気循環設備の設置など、快適性や省エネルギー、ユニバーサルデザインにも配慮した。事業期間26年6月18日〜12月22日。事業費1億4100万円。