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建通新聞社(中部)
2015/06/23

【三重】三重県国土強靭化地域計画 最終案まとまる

 三重県戦略企画部は、土砂災害対策などの取り組みを盛り込んだ「三重県国土強靭(きょうじん)化地域計画(仮称)」(以下、地域計画)の最終案を公表した。国の「国土強靭化基本計画」(以下、基本計画)を受けて2014年度から策定作業を進めていたもので、3月に示した中間案を踏まえて必要な修正を加えた。18日に開かれた県議会戦略雇用経済常任委員会で県側が最終案について説明した。
 地域計画は、国土強靭化基本法の施行に基づき、国が策定した「国土強靭化地域計画策定ガイドライン」を指針として地方公共団体に策定を求めるもの。三重県では、南海トラフ地震の発生が危惧され、事前防災および減災の取り組みを進めることが喫緊の課題となっていることから、おおむね10年先を見据えた国土強靭化に関する今後の取り組みをまとめた。今後、必要に応じて「みえ県民力ビジョン・行動計画」の改定などに合わせて内容を見直す。
 委員会では、「地域計画に対する国の予算の裏付け」について委員から質疑があり、県側は「地域計画に基づき実施される取り組みに対する国の支援について、1月に関係府省庁所管の交付金・補助金において『交付の判断に当たって、一定程度配慮』することとされた」と説明し、「県レベルでは毎年度の予算、4年間の行動計画の中で示していく」などと答えた。
 地域計画の概要は、第1章「基本的な考え方」、第2章「脆弱(ぜいじゃく)性評価(分析・評価など)」に目標設定やリスクシナリオ(最悪の事態)、第3章「取り組み方針」、第4章「計画の推進と不断の見直し」と別紙の脆弱性評価結果で構成している。脆弱性評価では、大都市での建物の大規模倒壊や火災による死傷者の発生、ため池などの損壊による二次災害の発生など39項目の「起きてはならない最悪の事態」を三重県分として設定し、これを回避するため、施設の耐震化、インフラ整備、救援・支援体制の強化などの取り組みを挙げた。
 三重県独自の実情を踏まえた取り組みとして、土砂災害対策、離島などへの対策、観光地の防災対策、石油コンビナートなどの防災対策、リニア中央新幹線、外国人住民向けの防災対策の6項目を挙げた。特に土砂災害対策では、同県は土砂災害危険箇所数が多いことから、市町の行う警戒避難体制の整備を支援するため土砂災害警戒区域などを指定する。
 最終案の修正箇所は、リスクシナリオ別推進方法の内容が中心で、整備などを必要とする河川、海岸、港湾などの具体名を追記した。脆弱箇所の補強対策では、対象の河川として、木曽川、鈴鹿川、雲出川、櫛田川、宮川、木津川、熊野川など。海岸では、津松阪港海岸、七里御浜海岸など。ダムなどの整備では、川上ダム、鳥羽河内ダム。海抜ゼロメートル地帯の浸水対策では、河川で木曽三川下流域、海岸では、長島地区海岸、城南第一地区海岸を挙げた。

提供:建通新聞社中部支社三重支局