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鹿児島建設新聞
2015/06/25

【鹿児島】中間前金払制度 本県28自治体が採用

  地域建設業の資金繰り改善に向けた取り組みとして、県内各自治体で中間前金払制度を導入する動きが広がっている。国土交通省の働き掛けなどもあり、導入率も6割を上回る一方で、なかなか導入に踏みきれない自治体もある。資金繰り対策として非常に有効な取り組みである「前金払制度」の現状を探った。 
 地域の建設業を取り巻く経営環境が厳しい中で、公共工事の施工期間中の資金調達手段として、県内では「中間前金払制度」の導入や積極的な利用促進を図る自治体が増えている。 
 ここ最近の動きをみると、2014年4月以降に運用を開始したのは、同4月に湧水町と錦江町、同10月にさつま町と大崎町、15年1月に東串良町、同4月には天城町が同制度を採用。15年4月現在、全体で28自治体(県含む)が運用済みとなり、導入率は前年度の53.5%から65.1%に上昇。着実に増加傾向で推移している。 
 県内の中間前払金保証を取り扱う西日本建設業保証且ュ児島支店によると、導入自治体の拡大に伴って、利用件数も年々増加。15年3月末時点の累計実績は、県・市町合わせて前年度比9.7%増の521件となった。また、請負金額は同74.7%増(188億4800万円)の440億9500万円、保証金額は同72.4%増(36億8300万円)の87億7100万円となり、そのニーズが如実に数字として表れている。 
 未導入の自治体では、本土の自治体として唯一残っている長島町が15年度の導入を決定。しかし、それ以外の離島の自治体は「地元業者からの要望がない」「部分払いなどで対応している」などの理由で導入に踏みきれていない。 
 しかし、西日本建設業保証且ュ児島支店の松井次長は「県工事における中間前払金の保証実績をみると、昨年度の大島支庁は非常に大きな伸びを示しており、資金需要はある」と話す。ただ、業界にとっては「受注の確保」が最優先事項であり、中間前金払制度に関しては声を上げづらい現状≠ェあるという。実際、大型事業を請け負ったことのある島の建設業者は「中間前払金があればよかったのに」と吐露する。 
 今後、離島では庁舎建て替えや防災施設など大型プロジェクトが見込まれる。特に奄美市は新庁舎建設等が控えており、大手と地元のJV構成が予想され、地元業者に対する出資金の負担等もあり、来年度あたりでの制度採用が期待されている。 

【解説】 
 中間前金払制度 工期と出来高が半分以上に達するなど一定の要件を満たせば、契約当初の前払金(4割)とは別に、工事代金の2割を追加して支払いを受けられる制度。部分払いの際に求められる出来高検査は不要で、書類のみで手続きが行える。 
 保証料率も一律0.065%ときわめて安く、建設業の資金繰り改善に有効活用されている。県内では2002年に県が導入して以降、順次、市町レベルへと拡大している。