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福島建設工業新聞社
2015/07/29

【福島】福島建設工業新聞社・槌音

 夏の高校野球も甲子園出場をかけた県予選が大詰め。千葉大会では帰宅部の助っ人が本塁打2本を放ったりと、はや、さまざまなドラマが。点の取り合いや息詰まる投手戦も野球の醍醐味なのだが、守備や小技で魅せられる選手の存在も大きい。プロ野球にも時代ごとに、「職人」と呼ばれる人たちがいて輝きを放つ。
 贔屓の球団や年代も異なるから大目に見ていただきたいのだが、職人といって思い浮かぶのは、盗塁なら阪急の福本豊、巨人・中日を渡った川相昌弘のバント、守備では中日・高木守道、塀際の魔術師と言われた巨人・高田繁あたり異論もなかろう。昨年の日米野球では広島・菊池涼介選手が、その守りで米メジャーをうならせた。
 今年のプロ野球オールスターは本県出身の鈴木尚広選手が出場。その足でスタンドを沸かせた。シーズンでも控えの存在。「○億円プレーヤー」ひしめく球宴のベンチの中では異色といっていいのだが、存在感はここでも大きい。黄門様の印籠ではないが塁に出れば待ってましたと期待をしてしまう。
 大砲やエースばかりではチームも成り立たない。技に価値観を置く日本人ならではの感情なのかもしれないが、職人技でならす選手が、明日のプロを志す少年の憧れになってくれたらいい。職人と言われるその人たちが、その技術で正当な評価と対価を得られる、そんな社会であってほしい。(鷲)