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秋田建設工業新聞社
2015/07/30

【秋田】秋田県/海岸保全基本計画を修正へ

 秋田県河川砂防課は、平成15年度に公表された秋田沿岸海岸保全計画を修正する。海岸法の改正で海岸管理者の維持や修繕義務が明確化され、政府の海岸保全基本方針の変更により、都道府県計画に海岸保全施設の維持や修繕に関する事項が新たに規定されたことなどを受け、維持・修繕の事項を追加する。L1津波の記載や船川港における計画堤防高の変更も検討する。来月11日には計画修正検討業務が開札される。
 県では平成24年12月、最大クラスの津波浸水想定を公表し、同25年9月には海岸保全施設などの施設整備に必要な設計津波の水位を公表した。昨年6月には、津波や高潮などに対する防災・減災対策の推進や海岸の適切な管理を目的に、国が海岸法を改正。同12月には海岸保全基本方針が変更され、各都道府県の海岸保全計画に定める事項として「海岸保全施設の維持または修繕に関する事項」が新たに規定された。
 県はこの状況を踏まえ、15年2月に公表した「秋田沿岸海岸保全基本計画」を修正検討する。対象地域は県内6区域の海岸で、総延長は約264km。前回の基本計画策定から経年で変化した事項の時点修正や、海岸保全施設の維持または修繕に関する事項の追加、L1津波の記載や船川港の計画堤防高の変更を検討する。構造物計画や維持修繕方法を記した表や、主要海岸保全の概略位置図を示す添付図も変更する。
 対象海岸は区域1(鳥海岩礁ゾーン)、区域2(由利砂浜ゾーン)、区域3(秋田・船川砂浜ゾーン)、区域4(男鹿岩礁ゾーン)、区域5(能代砂浜ゾーン)、区域6(八森岩礁ゾーン)の6区域。現行の計画によると、鳥海岩礁ゾーンは岩礁と砂浜が交互に連続した海岸、男鹿岩礁ゾーンと八森岩礁ゾーンは岩礁海岸(一部砂浜)、そのほかは砂浜海岸となっている。
 このうち鳥海岩礁ゾーンでは、岩礁とその間のポケットビーチからなる海岸として一連の施策を講じる区域、由利砂浜ゾーンは砂丘域に漁港が点在する長大な砂浜として、漁港や港湾との連携をとりながら一連の施策を講じる区域、秋田・船川砂浜ゾーンは秋田港の影響域となっている秋田港以北と以南の海岸で連携をとりながら対策を講じる区域とされている。このうち、由利砂浜ゾーンと秋田・船川砂浜ゾーンは一連の漂砂系を形成しているため、広域の漂砂移動特性に配慮しながら、連携した対策が必要となる。
 また、男鹿岩礁ゾーンと八森漁礁ゾーンは浅海域に藻場などが分布する岩礁海岸として一連の施策を講じる区域、能代砂浜ゾーンは能代港から男鹿岩礁域までの砂浜と、能代港から八森岩礁域までの砂浜とで漂砂系を考慮した施策を講じる区域と位置付けられている。
 今回、委託する業務では、計画策定時からの時点修正に基づき、海岸の現況や保全の方向性、海岸防護に関する事項などについて案を作成。現計画における海岸保全施設整備の基本的な事項をもとに、地区海岸ごとの新たな状況や海岸の特性を踏まえ、整備方針や防護面、環境面、利用面における海岸の目標などを取りまとめ、海岸保全施設の整備に関する基本的な事項(案)を作成する。
 海岸保全施設の維持や修繕については、区域や施設の種類、規模や配置、施設の維持または修繕について検討・とりまとめを行う。これらの検討を踏まえて海岸保全施設を整備しようとする地域や、海岸保全施設の種類・規模・配置等、受益地域やその状況などを記載した一覧表・図面も作成する。
 計画修正に向けては学識経験者から意見を聴取するため「秋田沿岸懇談会(仮称)」を10月以降に開催する予定で、委託業務には懇談会の運営も含まれる。また、パブリックコメントの資料も作成し、得られた意見は計画案に反映して整理される。

提供:秋田建設工業新聞社