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建通新聞社四国
2015/08/11

【香川】橋建協と四国地整意見交換 鋼橋工事の円滑遂行など3テーマ

 日本橋梁建設協会(橋建協、石井孝会長)と国土交通省四国地方整備局(四国地整、石橋良啓局長)は6日、高松サンポート合同庁舎で鋼橋工事の円滑な遂行、鋼橋保全事業の環境整備や担い手確保・育成など、三つの主要テーマについて意見を交わした。四国地整からは石橋局長をはじめ、企画、道路、建政の各部長ら幹部が出席。橋建協からは石井会長や同協会四国事務所の荒井照雄所長ら役員が出席した。
 橋建協は、国内の鋼道路橋の受注量と会員数が1995年の86万dをピークに、2014年に22万4000トンまで落ち込んだ現状を示した上で、工場での製作となる鋼橋工事の特性から「製作のための設備と人員を確保するために長期的で安定的な発注や、長期見通しが可能な情報の提供への配慮」を強く要望した。
 また、製作工場を持つ装置産業という面から、発注時期の偏在による技術者不足や材料手配期間が必要な現場工事での課題を挙げ、発注の平準化や適正な工期の設定に加え、設計段階で予期できない状況になった場合に、実態に合わせ適切な設計変更の実施を求めた。
 特に、地方自治体の発注工事で議会承認の関係から設計変更が受け付けられないケースや、施工体制確認方式が採用されず調査基準価格を下回っても契約できる場合があるとして、改正品確法の趣旨を地方自治体に浸透させる指導の徹底を求めた。
 これに対し四国地整は、道路事業の重要課題の「四国8の字ネットワーク」を含む高速道路ネットワーク整備推進と、現場条件等に応じた適切な国債設定や翌債等の明許繰越し制度活用による施工時期の平準化についての取り組みを報告。
 適切な工期設定では条件明示の徹底と施工時の実施工程表等による受発注者間の情報共有や、必要に応じて配置予定技術者の設置を要しない「余裕期間」を設定した工事活用などに継続して取り組む考えを強調した。
 地方自治体への指導では、06年に「四国地方公共工事品質確保推進協議会(四国品確協)を設立し、ことし2月にさらに四国品確協の下に各県部会を設置していることを伝え、四国4県部会を通じ品確法運用指針にある「発注者に多様な入札契約方式の中からの選択や組み合わせによる適用に加え、鋼橋工事での鋼材等の材料納期、必要な工場製作期間や現場工期内の考え方について周知する」と回答した。
 意見交換では橋建協が「橋梁CIM」の取り組みや課題を報告した上で、直轄工事での今後のCIM導入見通しについて質し、四国地整は地質、測量分野でのCIMの試行を検討している考えを伝えた。
 このほか、橋梁保全事業での環境整備と、担い手確保・育成についての橋建協の提案・要望事項と、四国地整の回答要旨は次の通り。
<橋梁保全事業の環境整備>
【橋建協】▽実態を反映した適切な積算―「橋梁架設工事の積算」の活用と、「橋梁補修補強工事積算の手引き」の使用。見積もりを活用した適切な設計変更の実施▽発注環境―「鋼橋上部」工種での発注、複数年契約方式の活用
【四国地整】▽見積もりを活用した適切な設計変更―橋梁補修で「あて板補修」、「支承防錆」、「ボルト取換」等標準積算基準に歩掛の掲載がない工種では見積もり活用方式による予定価格設定を採用▽「鋼橋上部」工種での発注―橋梁保全工事で「維持修繕」だけでなく、補修の難易度や重要度を考慮し「鋼橋上部」での発注も実施▽保全工事での複数年契約方式の採用―適切な国債設定と必要に応じた翌債などで施工時期を平準化
<担い手確保・育成>
【橋建協】▽技能労働者の処遇改善(共通仮設費改善と調査基準価格算出の率の検討、適正な現場工期の設定)―条件改善の一つとして週休2日制導入の実現と適正な現場工期設定。現場条件の変更等に起因する工期延伸など柔軟な対応▽技術の伝承と技術者育成(トラス、アーチ橋など多様な橋梁形式の採用、若手、女性技術者活用のための環境整備)
【四国地整回答】▽共通仮設費の改善―毎年実施している「間接工事費等諸経費動向調査」を分析し必要に応じ間接工事費率の改定を実施していると現状報告▽適正な現場工期設定―現場工期で週休2日制の採用を予定する工事があれば積極的に協力する。今後とも現場条件や工事規模等を考慮し適正な工期設定に努める▽技術の伝承と技術者の育成―直轄管理区間での既設橋の中にトラス橋・アーチ橋は少なくなく、直轄診断を必要とする市町村管理の橋梁についても特殊橋梁に対するアドバイスの必要性は高く、専門的な橋梁技術の継承に努めてほしい▽若手、女性技術者活用の環境整備―総合評価方式に現場代理人としての施工経験等を監理(主任)技術者と同等に評価。国土交通省では直轄工事で仮設トイレよりグレードの高いトイレを設置するモデル工事を本年度実施

提供:建通新聞社