大阪市は、自転車ネットワーク整備計画を2015年度内に取りまとめる計画だ。有識者や市民団体代表らを構成員とする検討会議を立ち上げ議論に着手した。検討会議の座長を務める山中英生徳島大学大学院ソシオテクノサイエンス研究部教授は、「大阪市は平地が多く、自転車利用率がナンバー1のまち。(整備計画を通じて)成功事例としていければ」と話す。
計画策定に向けた基本方針として、市内中心部は「量的拡大」、周辺部は「質的向上」を目指す。その背景には、市内中心部(北区、中央区、浪速区、西区、福島区、天王寺区)は、道路延長当たりの自転車事故件数が周辺部に比べ2倍となっているほか、自転車の通行空間がほとんど整備されていないこと。
また、周辺部は一定のネットワーク整備が行われているものの、道路延長当たりの自転車事故件数は他都市と比べて多く、より効果的に安全確保を図るための機能向上策と改善策を行う必要がある。
市では、12年11月の国のガイドラインが出る前の同年3月に「自転車利用環境の整備に関する今後の取り組みの考え方」をまとめ、「とめる」「はしる」「きちんとつかう」の3本柱に、当時全国ワースト1だった放置自転車対策のほか、自転車歩行者道の整備、啓発活動などを進めてきた。今回策定する整備計画は、市内中心部のほか、市内周辺部の自転車走行環境整備を中心に、これまでの「考え方」の見直しを行い整備計画とする見通し。
市内の自転車事故件数自体は、04年をピークに減少傾向にあるが、自転車対歩行者の事故は1999年からの15年間で約13倍に急増。検討会議にオブザーバー参加している大阪府警の担当者は、事故原因として自転車・歩行者の信号無視が大きいと指摘する。また、検討会議では一部自転車の高速化などの課題への対応も必要との指摘も出た。
検討会議は、2016年3月までに4回開く。11〜12月に計画素案をまとめ、パブリックコメント手続きを行う予定。パブコメの意見を踏まえて16年3月に計画としてまとめる。府内での自転車ネットワーク計画は、堺市、高槻市、茨木市、箕面市で策定済み。
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建通新聞社