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秋田建設工業新聞社
2015/09/01

【秋田】秋田県/公共施設等総合管理計画で骨子案

 秋田県は8月31日、公共施設等総合管理計画推進本部会議を開き、公共施設等総合管理計画の骨子案を示した。対象はインフラを含め県所有の全施設で、来年度から平成37年度までの10年間が計画期間。計画の核となる管理の基本的な考え方には、点検・診断や維持管理・修繕・更新、安全確保、耐震化、統廃合や長寿命化のほか、PPP・PFIなどについても実施方針を示す。公共施設の統廃合では所管部局が各施設を自己点検・評価し、4つの利活用パターンに分類する。
 対象施設は、インフラを含めた県所有の全施設となるが、県出資の独立行政法人所有施設は今回の計画に盛り込まない。今後10年間で老朽化する施設が急速に増加することを踏まえ、人口の見通しなどを踏まえて20年以上の長期的な視点に立ったうえで計画を策定する。
 知事を本部長とする公共施設等総合管理計画推進本部と、出納局次長を幹事長とする幹事会で取り組む。本部は計画の進捗を管理・評価し、議会報告や県民への情報提供も行う。市町村との「連絡協議会」も設置して具体の案件協議や情報共有も行う。
 管理に関する基本的な考え方で最も重要となるのは「統廃合」と「長寿命化」。統廃合では、施設を所管する各部局が平成11年度以前に建築した床面積200u以上の施設を対象に、施設の健全性(ハード面)とサービスの必要性(ソフト面)から自己点検と評価を行い、4つパターンに分類する。
 分類項目は◇T型(健全性・サービスの必要性ともに高評価:施設の存続を検討)◇U型(サービスの評価が高く、健全性の評価が低い:建て替えや大規模修繕、他施設の複合化等で存続、あるいは廃止して民間施設等でのサービス提供等を検討)◇V型(健全性の評価が高く、サービスの評価が低いもので、用途変換などによる存続、あるいは民間などへの売却・貸付等を検討)◇W型(いずれも評価が低く、解体撤去など施設の廃止を検討)―の4パターン。
 一方、長寿命化の実施方針のうち、公共施設では、◇計画的な予防保全(劣化・損傷を未然防止する修繕等)◇費用比較等による対策可否の検討(大規模修繕は建て替えによる費用・効果等を総合的に比較検討し、有利と認められる場合のみ実施)◇長期使用への配慮・ライフサイクルコストの削減(建て替えや大規模修繕の際、耐久性の向上や他用途に転換する柔軟性等を重視、建設後の維持管理費の低減等にも配慮した仕様を採用)―を検討。
 インフラ施設の長寿命化においては、点検・診断に基づき必要な対策を実施し、施設の状態や対策履歴等の情報を記録して次の点検・診断に活用する「メンテナンスサイクルの構築」や、施設ごとの健全度、緊急性、社会的影響などを総合的に勘案したうえで優先順位づけし、財政状況を踏まえた計画的な補修・更新を行う「補修・更新時期の平準化」、予防保全型管理を基本としながら、損傷等が施設全体の機能に影響がない場合や、危険が伴わない場合は事後保全型管理を実施するとともに、更新時はトータルコスト縮減に向けた工法等を積極的に採用する「補修・更新費用等の最小化」を念頭に取り組みを進める。
 県が管理する公共施設は427施設で、このうち一般的に大規模修繕が必要となる30年経過施設は45%。10年後にはこれが64%に増加する見通し。インフラ施設は道路実延長3,235km、橋梁数1,113本、トンネル85カ所などで、橋梁は一般的な更新年数(50年)を10年後に37%が経過する見通しとなっている。
 これら公共施設などの維持管理や修繕、更新における今後30年間の経費見込みによると、公共施設における経費の年平均は現状の2.1倍(年間104億円→219億円)、インフラ施設が同1.4倍(年間274億円→383億円)とされている。今年3月に公表された財政の中期見通しでは、現状の普通建設事業費(1,188億円)を一定度削減しても、社会保障関係経費の増や地方交付税の確保が先行き不透明な背景にあることなどから、財源不足は拡大するものと推計されている。
 県財産活用課によると、今後は県議会の今年度第3回定例会(9月議会)に骨子案を説明。各部局で公共施設の自己点検・評価を行ったうえで12月議会に素案を提出し、順調に運べば2月議会に最終案を提示して成案化を目指す。

提供:秋田建設工業新聞社