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北陸工業新聞社
2015/09/02

【石川】30億円投じ、6カ年で整備/国営応急対策河北潟地区/北陸農政局/生態系、景観に配慮

 北陸農政局は、金沢市、かほく市、津幡町および内灘町にまたがる農地に農業用水を安定供給するため、揚水機場を改修して機能保全を図る「国営施設応急対策事業 河北潟地区」に着手する。このほど、内灘町役場4階に同事業の実施機関となる西北陸土地改良調査管理事務所「河北潟分室」を開設した。20(平成32)年度までの6カ年で総事業費30億円を投じて事業を促進する。
 石川県中央部に位置する河北潟地区は2級河川大野川水系河北潟に造成された干拓地内851ヘクタールの農業地帯。干拓地内では大麦、大豆のほか、すいか、れんこん等野菜類を導入した農業経営が行われているが近年、揚水機場の不測の事態による運転停止事故や施設の維持管理に多大な費用と労力を要している。そこで、干拓地内にある4揚水機場(東部第1揚水機場、東部第2揚水機場、西部揚水機場、南部揚水機場)を対象に、機能を保全する整備を行うことにより、農業用水の安定供給および施設の維持管理の費用と労力の軽減を図り、農業生産性の維持および農業経営の安定に資することを目的としている。
 計画によると、ポンプ設備については一部の部品を耐摩耗性、耐腐食性の高い部品として一括更新する。機械設備では配管内洗浄と更新を行うとともに、サンドフィルターを設置。また、除塵機は分解整備、給水槽はポリマーセメントにより表面被覆を行う。さらに、電気設備は高圧受電盤と低圧受電盤を一括更新する。そのほか、附帯設備として地盤沈下分を盛土して舗装を行う計画。
 施工にあたっては、4揚水機場が通年取水を行っていることから、用水量の少ない毎年11月から翌年3月までの5カ月間を断水。隣接地区より用水を確保し、1年に1機場のペースで工事を行う方針だ。施工手順は近年のポンプ運転停止事故を考慮し、16年度に西部揚水機場、17年度に東部第2揚水機場、18年度に東部第1揚水機場、19年度に南部揚水機場を施工する。最終年度となる20年度については機場周辺整備を予定している。
 なお、河北潟および潟に流入する河川にはキタノメダカ等の魚類が生息し、チュウヒをはじめ多くの鳥類が観測される貴重な地域となっている。「事業による影響を可能な限り回避・低減すること」の基本方針のもと、本地域に有する生態系や景観との調和に配慮する。工事の実施にあたっては、周辺環境への影響を軽減するため、騒音振動対策を行うとともに、濁水流出防止に努める。

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