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建設新聞社(長崎)
2015/09/09

【長崎】振興基金・長崎地方拠点責任者 福本隆典氏に聞く

厚労省・建設労働者緊急育成支援事業
    まず鉄筋工で募集・訓練・あっせん

 建設業界への入職促進の動きが国を挙げて進む中、厚生労働省が本年度創設した「建設労働者緊急育成支援事業」に基づく(一財)建設業振興基金の地域拠点が、7月末に長崎に設置された。同拠点は全国に16カ所あり、九州エリアには長崎のほか、福岡と宮崎、沖縄の4カ所。長崎の拠点ではどのような取り組みを進めようとしているのか、責任者である福本隆典氏に話を聞いた。
福本氏

― まず事業について教えてください

 「未就業者の建設業への入職促進を全国レベルで目指しています。厚労省による5年間の時限的な事業で、本年度(事業費約6億円)は建設業振興基金が受託しました。振興基金では、東京の基金事務所に中央拠点を設置した上で、地域の総合建設業団体や専門工事業団体、職業訓練校などに地方拠点を設置。求職者の「募集・職業訓練・就職あっせん」をパッケージ化して実施する計画です。この事業で、全国で600名の応募者を確保して、このうち360名が訓練を修了、252人が業界に入職することを目指しています」

― 中央と地方の各拠点の役割は

 「中央拠点では、求職者の募集に向けた▽ポスター・チラシの配布▽業界団体企業での縁故採用・内定者情報の収集▽合同就職説明会の実施▽地方紙・FM放送・フリーペーパーなどを活用した広報―などを地方拠点と連携して進めます。また、富士教育訓練センターで、重機オペレーターや躯体・内装系技術者の職業訓練をオーダーメードで実施。首都圏で定時制高校生を対象にした通所型の職業訓練なども計画しているようです。一方地方拠点では、各地の状況に応じた職業訓練方法を検討。そして、ハローワークなどと連携した建設業への入職希望者に対するマッチングや、業界団体の会員企業を主な対象とした就職あっせんを実施します。私も、9月に職業安定法に規定されている職業紹介責任者講習を受講して、就職あっせん業務に向けた準備を整えます」

― 長崎では具体的にどのような取り組みを計画しているのですか

 「長崎では前年度から『産学官連携建設業人材確保育成協議会』を設置し、関係者が一体となって建設業への人材の確保・育成に向けた取り組みを進めています。その中で、県の鉄筋工事業協同組合が具体的に取り組む意向を示していたことから、まずは鉄筋工の求人・訓練・あっせんを進めることにしました。今月中にも鉄筋組合との検討の場を立ち上げて具体的な訓練内容などを詰め、9月に募集、10月に説明会、11月から長崎県建設技術研究センターを活用した職業訓練を実施したいと思っています。年度内にさらにもう1度、募集・説明会・訓練の流れを実施し、最終的には本年度中に合計6人程度の訓練を目指しています。このほか、離島の未就業者に配慮した訓練なども、長崎独自の取り組みとして検討したいですね」

― 最後に、事業に対する意気込みを聞かせてください

 「長崎は、新幹線や高速道路はじめ広域交通ネットワークの整備が進められていますが、依然として不十分です。さらに既存ストックの老朽化への対応も一層必要になりますので、県内の建設業界にはまだまだマンパワーが不可欠。人材の確保向けて、『貢献』『感謝』『感動』の新3K≠ナ、建設業の魅力を伝えていきたいですね。新3Kは、昨年、建設業協会の人材確保育成事業で壱岐を訪問した際に、地元の建設業者の方に教えていただいたもので、社会資本などの整備を通じて地域に貢献≠キることで、地域から感謝≠ウれ、利用者に感動≠与えるという、まさに建設業のやりがいを凝縮した言葉。「自分たちが地域のインフラをつくり、守っていく」という気概を持った人たちを、育成・確保したいと思っています。



―略歴―
ふくもと・たかのり
1966年日本国有鉄道入社、東北・上越新幹線大宮地区の設計・施工や新宿駅南口コンコース拡幅などに携わる。国鉄の分割民営化により87年長崎県庁入庁。都市計画を中心に業務を担当し、長崎南バイパス建設事務所長を最後に退庁。その後(一財)長崎県建設技術研究センターの技術部参与として県や市町の業務を支援した。14年度から長崎県建設業協会のアドバイザーとして、人材確保育成事業に従事し、15年7月から現職。佐世保市出身。68歳。
ksrogo