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日刊建設タイムズ社
2015/09/10

【千葉】日々の安全確保に力を/「発注者側の対応」不可欠/具体活動の取り組みで懇願/県建設業協会と関東整備局

 国土交通省関東地方整備局(石川雄一局長)と(一社)千葉県建設業協会(鈴木雅博会長)との意見交換会が9日、千葉市内のホテルポートプラザちばで開かれた。業界・国・地方の3者が率直な意見交換を行うことで、発注者と受注者が互いにパートナーとして、公共工事の品質の確保と社会資本整備の理解促進など、諸課題の改善に取り組むことが目的。この日は協会側から、日々の地域社会と経済の活性化や安全確保につながる具体活動に引き続き取り組み、これらの活動を維持していくため、@地域に密着した建設企業の受注機会の確保A最低制限価格及び低入札調査基準価格の引き上げB工事の発注や施工時期の平準化C週休二日制を考慮した適切な工期の設定D改正品確法の「運用指針」の浸透、徹底――を挙げて「発注者側の対応が不可欠」と主張。整備局側の踏み込んだ見解を求めた。
  まずは受注機会の確保
 この日は議事に先立ち、関東地方整備局の石川局長をはじめ、県県土整備部の永田健部長、鈴木会長の3氏があいさつ。
 この席で石川局長は、2050年を見据えた「国土のグランドデザイン2050」を昨年4月にとりまとめ、それを踏まえて本年8月14日に「国土形成計画全国版」を閣議決定。本年度中にブロック計画として首都圏の広域地方計画の改定を行う予定で、法定協議会を通じて先般、新たな骨子が了承されたことを説明。
 品確法・建業法・入契法のいわゆる「担い手三法」の改正が、昨年度施行されたことについては「インフラの品質確保、担い手の育成という中長期的な観点から、しっかり発注者・受注者ともに取り組んでいこうというものである」と述べたうえで、これを受けて「発注事務の運用に関する指針(運用指針)が策定され、この法改正の理念を現場に実現していくために、地方公共団体や建設業界の方々と相互に密接な連携を図りながら、法の主旨を生かしていくように進めていきたい」と弁。運用指針の策定では「業界からの意見を踏まえて、設計変更を円滑、確実に実施するための取り組みを推進するために、先般6月16日に『設計変更のガイドラインの改定』も行った。このようなかたちで、担い手三法の改正の主旨等を生かしていきたい」との考えを示した。
 異常気象による出水や土砂災害が発生している一方、首都直下地震や南海トラフ地震という巨大地震に言及した氏は「首都直下地震が発生した場合、都心部で道路施設の損傷、放置車両等による幹線道路の深刻な状態が発生して、緊急車両の移動が阻害されるという懸念がある。その際に関係機関が連携して、片側1車線を最低限確保するという発災後の速やかな道路啓開を実施するための『首都直下地震道路啓開計画』というものを策定した」と説明。都心を中心とする8方向に高速道路・国道・都道を組み合わせて、啓開ルートを選定する『8方向作戦』を目指すもので「これらの取り組みについても色々と協力を頂くことになる」と要請した氏は、この日の意見交換会について「色々な課題が山積しているが、それらに対して忌憚のない意見を頂き、有意義な時間となることを期待する」と述べ、あいさつとした。
 「県では老朽化したインフラを多く抱えている」とした永田・県土整備部長は「トンネルや橋をみると、全国に比べて10年ぐらい早く老朽化が進展しているようである」と弁。また「県では現在、全庁で『県土強靱化計画』の策定に取り組んでいる」とした氏は「県土整備部ではその策定を待っているのではなく、県の強靱化への取り組みを進めており、これからも着実に進めていきたい」との考えを示した。さらに「県民の安全安心と暮らしを守っていくためには、地域の建設業の健全な発展が必要不可欠である」とし「県では県内企業の育成という観点から、県工事の発注において県内企業で施工可能なものは、出来るだけ県内企業に受注して頂こうという取り組みを従来から進めており、これからも続けていく」と言明。「今後も協会支部と我々出先機関との意見交換等を含め、建設業協会と緊密な連携を図っていく。本日の意見交換会でより有意義な成果が出ることを期待する」と述べ、あいさつに代えた。
  改正品確法施策/徹底求める提案
 これらを受けて鈴木会長は「私どもは、いつどこで起きるか分からない災害に備えるため、公共施設整備や老朽化施設のメンテナンスの取り組みを加速し、国土、県土の強靱化に備えていくことが重要と考えている」と言明したうえで、地方経済の活性化に向けて波及効果が大きい公共事業予算については「来年度も現状を上回る規模を維持してほしい」と懇願。
 「地域で必要とされ信頼される建設業」が「永続的に活動していくこと」ができるよう、同協会では7月と8月にかけて県内外の関係直轄機関を回り「地元建設企業に対する受注機会の確保」について要望。それらに言及した氏は「繰り返しになるが」と前置きし「日本国土の自然災害に対する備えは依然として弱く、安全・安心な国土づくりに向けた社会資本整備への取り組みは、まだまだ不十分な状況にある」と強調。「本日は、公共施設の整備を担う地方の建設企業が存続していくために必要な、改正品確法施策の徹底を求める提案を用意している。各事項に対するみなさんの踏み込んだ所見を伺いたい」と要望し、あいさつを結んだ。k_times_comをフォローしましょう
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