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建通新聞社四国
2015/09/15

【高知】高知県 政府関係7機関の誘致提案 海洋、防災、林業の分野対象に

 高知県は8月31日、内閣官房まち・ひと・しごと創生事務局に対し、政府関係機関の地方移転に係る提案書を提出した。高知県の置かれた状況や強みを踏まえ、海洋研究、国土強靭化関係、林業振興関係のうち、海洋研究開発機構、水産総合研究センター、理化学研究所、石油天然ガス・金属鉱物資源機構、産業技術総合研究所の機能の一部、防災科学技術研究所、森林総合研究所の機能の一部の7機関を県内に誘致する提案を行った。
 海洋研究の深化・産業創出に向けた政府関係機関の地方移転のうち、海水資源・海洋・海底生物資源については、海洋研究開発機構(神奈川県横須賀市)、水産総合研究センター(横浜市)、理化学研究所(埼玉県和光市、横浜市)、産業技術総合研究所(東京都江東区)の一部の県内移転を提案している。移転先候補地は高知大学物部キャンパス周辺(南国市)と、海洋深層水関連については海洋深層水共同研究センター(室戸市)を挙げている。
 高知県は、土佐沖の海洋資源が豊富であり、海洋研究に関する機関が県内に集積している。特に微細藻を大量培養できる海洋深層水の取水施設周辺に研究施設を複数有している。このため、国にとって研究力の強化につながると期待されている。
 また海底資源については、海洋研究開発機構(横須賀市、横浜市)、石油天然ガス・金属鉱物資源機構(千葉市、東京都港区)、産業技術総合研究所(茨城県つくば市)の一部の県内移転を提案している。移転先候補地には高知大学物部キャンパス周辺を挙げている。
 国土強靭化関係では、防災科学技術研究所(観測・予測研究領域、社会防災システム研究領域)、海洋研究開発機構(地震津波海域観測研究開発センター)、産業技術総合研究所(地質調査総合センター)の移転を提案している。移転先候補地には高知大学朝倉キャンパス、物部キャンパス、高知工科大学香美キャンパス周辺を挙げている。
 高知県が抱える課題として、大規模災害による甚大な被害想定、ぜい弱な地形、全国に先駆けて進行する過疎化・少子高齢化がある。そのため多くの研究・実証が行われており、研究機関がフィールドにあることで研究・実証の効率化と内容の充実が可能となる。
 林業振興については、森林総合研究所本所(つくば市)の複合材料研究領域(CLT関連)、水土保全研究領域(治山関連)、林業工学研究領域(林業機械・架線関連)の移転を提案している。移転先候補地は森林技術センターの研修棟(香美市)か森林総合研究所四国支所周辺(高知市)。高知県は日本一の森林率で、地すべりや治山工事、架線技術に関するデータが豊富に蓄積できる。全国に先駆けてCLT工法による建築実績があり、CLTを推進する体制が充実している。
 国は今後、誘致した道府県を対象にヒアリングを行い、来年3月末に地方に移転する政府機関を決める見通し。

提供:建通新聞社