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建通新聞社(東京)
2015/09/16

【東京】都 谷沢川分水路新設で基本設計委託

 東京都建設局第二建設事務所は、谷沢川分水路新設に伴う基本設計の委託先を建設技術研究所(中央区)に特定し、14日に同社の見積もった7200万円(税抜き)で契約を結んだ。1時間当たり75_の降雨があっても浸水被害が発生しないよう、多摩川通り(国道246号)付近から多摩川との合流部付近までの既存道路や河川の地下空間にシールドトンネルを建設する計画。2016年12月20日までにルートや工法を絞り込み、実施設計につなげる。
 谷沢川は、世田谷区桜丘4・5丁目付近の湧水を水源に同区中町や等々力(等々力渓谷)を流れ、野毛付近で丸子川と交差した後、玉堤で多摩川に合流する延長3・7`の多摩川水系の1級河川。時間雨量50_への対応として、河道の拡幅や掘削など河道断面を広げることを中心に整備を進めてきたが、密集市街地で用地取得が難しく、事業進捗率は約3割にとどまっている。
 近年の集中豪雨の多発により、谷沢川流域でも浸水被害が発生していることから、河川整備の目標を時間雨量75_に引き上げるとともに、道路など公共空間の地下を利用した分水路を新設し、洪水の一部を分流して流下能力を高める。
 分水路は、多摩川通りと首都高速道路3号渋谷線との分岐点付近(世田谷区玉川台1丁目)を起点とし、丸子川との合流部付近(玉堤2丁目)を終点に設定。地形や地質といった自然条件、工事用車両の進入路や施工ヤード、大規模地下構造物などの現況と配置計画などを把握した上で、シールドトンネルのルートを検討する。
 今回委託した業務を通じ、既設の谷沢川雨水幹線との接続方法について、既設の立坑に直接接続する方法と別途到達立坑を整備する方法を比較検討するとともに、谷沢川本川から取水して河川水位を下げ、雨水排水を促す暫定運用も視野に取水施設の配置や構造を考え、諸元を設定して大まかな工期と工事費を算定する。別途策定する河川整備計画や水利模型実験の結果も踏まえ、放流施設の構造などの諸元を固め、工期と工事費を算出する。
 さらに、立坑の位置や範囲、既設立坑との連絡管の形状・接続方法、仮設工、必要な設備などを検討し、掘削土の処理方法を含めた施工計画を立案する。
 その上で、シールドトンネルの口径や延長といった規模、二次覆工の必要性、セグメントの種類・厚さなどを絞り込むとともに、急曲線部への設置を想定するコンクリート中詰鋼製セグメントの概略断面も検討。シールドマシンの機種や発進・到達方法なども考え、全体施工計画と維持管理計画案を作成する。
 16年12月20日納期で成果を得て実施設計に移行。24年度の整備完了を目指して工事発注の準備を整える。