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日刊建設タイムズ社
2015/09/30

【千葉】取組状況や課題を検討/県の水素利活用研究会/異業種間の融通など

 本県における水素の利活用について検討する「千葉の特色を活かした水素の利活用に関する研究会」(座長=岡崎健・東京工業大学特命教授)の第2回目が25日、千葉市の京葉銀行文化プラザで開催され、委員となっている各企業等が千葉県で取り組む水素の利活用に向けてそれぞれの立場から取り組み状況を説明するとともに、課題や県への要望について話し合った。
  研究会では、将来の発電を考えた場合に京葉臨海工業地帯は魅力があるとして、京葉臨海コンビナートでの水素パイプラインの構築や異業種間の水素融通の必要性や、コージェネレーションを活用したまちづくり、観光ルートと水素ステーションを結びつけた事業展開などが提唱された。また、燃料電池システムの利用拡大として、FCバスやFCフォークリフトへの活用が期待されるとした。
  研究会では▽国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)=大平英二・新エネルギー部燃料電池・水素グループ主任研究員▽東京ガス=荒正仁・エネルギーソリューション本部エネルギー企画部部長▽出光興産=遠藤博之・経営企画部部長付▽トヨタ自動車=白野哲・流通企画部関東地域統括部長▽東芝=清野弘・次世代エネルギー事業開発プロジェクトチームサブプロジェクトマネージャー部長▽岩谷産業=宮崎淳・常務執行役員水素エネルギー部長(兼)中央研究所副所長▽富士電機=吉岡浩・発電・社会インフラ事業本部新エネプラント事業部新エネルギー技術部主席の各委員が自社の取り組み状況を説明し、課題を明らかにするとともに、県の取り組みに対し要望した。
  NEDOは、定置用燃料電池の市場拡大や燃料電池自動車の水素ステーション低コスト化、水素エネルギー利用拡大、水素サプライチェーンの構築など様々な取り組みを行っており、本年度から水素ガスタービンの開発に着手した。千葉県への期待として、将来の発電を考えた場合に京葉工業地帯は魅力があるとし、期待感を表した。
  東京ガスは、スマートエネルギーネットワークとコンパクトシティを提唱。業務用燃料電池ガスコージェネレーションシステムの2017年ごろの実用化・販売開始を目指している。課題としては低コスト化、小型化を挙げ、県に対してはコージェネレーションを活用したまちづくりを進めることや、エネファームを設置する住宅事業者に対する補助金などを求めた。
  出光興産は、県内で市原と成田に水素ステーションを設置するとともに、千葉事業所の中で水素ステーションを活用。成田水素ステーションでは安全・品質管理に取り組んでいる。また、近隣の企業と水素を融通して活用している状況を説明。水素利活用の課題としては、自動車のガソリン・軽油とのコスト比較、発電用のガス・石油・石炭との燃料コスト比較を挙げた。今後の取り組みでは、異業種間で水素を融通しあうパイプラインの整備などが求められるとした。
  トヨタ自動車は、県内の水素ステーションが計画4か所、稼働1か所の合計5か所で、東京都12か所(稼働中5か所)、神奈川県10か所(同3か所)、埼玉県13か所(同4か所)と比較して少ないことや、ドライブタイム10分カバー率が6・8%と低いことを課題に挙げ、水素ステーションインフラ整備の必要性を強調した。他の委員からは、将来に向けて観光ルートと水素ステーションを結びつけた事業展開などの提案があった。
  東芝は、水素事業モデルと燃料電池技術について紹介。BCPモデル(災害時対応)、事業所モデル(水素ST)、離島モデル(完全自立型)、水素電力貯蔵システム、スマートコミュニティ水素モデル――の5タイプを紹介した。
  岩谷産業は、全国20か所で水素ステーションの先行整備を計画し、このうち9か所が稼働していると説明。千葉県内については、今のところ計画はないとしながらも、事業推進に向けて県に、県所有の遊休地の斡旋や建設及び運営に係る上乗せ支援など水素ステーション導入支援策の創設などを求めた。
  富士電機は、燃料電池の開発状況や世界で63台(うち51台稼働中)の納入実績や、都市ガス、消化ガス、純水素の事例を紹介。今後の取り組みとして京葉臨海コンビナートの水素パイプライン、工場間相互の水素融通などを挙げた。k_times_comをフォローしましょう
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