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日本工業経済新聞社(群馬)
2015/09/30

【群馬】群造協の協会員55社へアンケートを実施


本紙・群馬建設新聞は、群馬県造園建設業協会(須永敏明会長)の協会員55社へアンケートを実施した。協会員には自社の経営の見通し、技術者の平均年齢および若手技術者や女性技術者の雇用、後継者の有無に加え、県発注の除草工事や街路樹管理の回数、街路樹剪定士の入札参加資格への導入、交通誘導員の不足感などについて賛否や考えを聞いた。このうち、若手技術者については9割の協会員が確保に苦慮している現状が浮き彫りとなった。また、8割以上が県発注の除草工事の回数を『少ない』または『やや少ない』と感じており、除草剤の使用を求める声も9割強に上った。(2面にアンケート結果掲載)
アンケートは、本紙と同協会が協会員55社を対象に、8月20日から9月3日までの間で実施。全社から回答を得た。
協会員には◇自社の経営の見通し◇技術者(造園施工管理技士、造園技能士など)の平均年齢◇若手技術者(35歳以下)の過不足と不足への対応◇女性技術者の有無と今後の方針◇女性技術者がもたらす効果◇高齢者(65歳以上)の雇用◇後継者の有無―のほかに◇県発注の除草工事における除草剤の使用について◇県発注の除草工事の年間回数について◇県発注の街路樹管理(剪定刈り込み)の年間回数について◇県発注案件の参加要件に「街路樹剪定士」を加えるべきか◇交通誘導員の不足感とその対応―を質問した。
自社の経営の見通しは、『横ばい』が7割近くに上った。『明るい』『やや明るい』の回答も2割あり、これまでの厳しい状況に若干の光が差してきたようだ。
技術者の平均年齢は『40歳代』が6割を占め、『30歳代』も2割と、深刻な高齢化は見られなかった。しかし、若手技術者の現状は9割が『不足』『やや不足』と回答。その対応として、多くが新規雇用に積極的な姿勢を見せている。
女性技術者の雇用は、協会員の2割にとどまったが、すでに雇用している企業では『品質面や作業、書類作成に気配りが見られ、会社のレベルアップにつながる』や『社内で現場の情報共有が進み、向上心、競争心が増進される』『きめ細やかな指導や統率が図れる』『営業力が上がった』といった、大きなプラス効果があると答えていた。県内実業系高校の土木コースでは緑化や園芸を学ぶ女子生徒も多く、女性活躍の視点からもこうした人材を取り入れていきたいところだ。
55歳以上の経営者には、後継者の有無を聞いた。その結果、35社が回答し、24社がすでに決まっており、未定は11社だった。
県発注の除草工事を含む多くの公共工事では現在のところ、除草剤の使用はほぼ認められていない。アンケートでは、除草剤を『認めてほしい』と『条件的に認めてほしい』との回答が全体の9割以上に達した。「植樹マスとアスファルトの目地」や「裸地」などへの限定的使用を求める意見もあった。国土交通省の新技術情報提供システム(NETIS)には安全性に配慮した雑草対策剤が紹介されており、今後、地域住民の理解が課題となりそうだ。
県から発注される除草工事の回数については、『少ない』が4割、『やや少ない』も4割となった。県発注の街路樹管理(剪定刈り込み)の回数は、『適正』が4割を占め、『やや少ない』が3割強、『少ない』が2割と続いた。
過去の公共事業費削減期には、こうした維持管理費から減少されていった背景がある。「回数が減ったことにより、1回あたりの作業量が増大している」という指摘もあり、景観や安全の面からも改善が望まれる。
「街路樹剪定士」に関する質問では、『街路樹管理の入札参加資格に加えるべき』との回答数が6割を超え、『加えなくてよい』を大きく上回った。同資格は、技術面だけでなく安全面も担保する資格。全国的に街路樹管理の委託時に必須としている自治体も増加しており、県内でも保有者が200人以上に上っている。
また、アンケートでは多くの協会員が交通誘導員の確保に苦労しており、8割近くが『大変苦労している』『苦労したことがある』と回答。その対応として『多くの警備会社に問い合わせてやっと確保できた』『交通誘導員の予定に合わせ、工程を変更した』『自社の社員で対応』という回答が多く見られ、『緊急時の確保は難しい』『交通誘導員の実勢単価が設計単価と合致しない』という意見も複数あった。
自由回答欄には、『除草工事や防草シートの設置工事、堤防の維持管理では、ほとんど造園業者が下請けなので、直接発注してほしい』『発注者との間で維持管理のモデル地域を作り、2〜3年かけ除草の方法や植樹のあり方などを研究できないか』などもあった。
今回のアンケートについて、須永会長は「若手技術者の不足や女性技術者の雇用といった課題が顕著に現れていた。協会として、今後こうした課題に対応してまいりたい」とコメントした。