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北陸工業新聞社
2015/10/06

【富山】国土強靭化へ技術の復活を/藤井聡京大大学院教授が講演/技術士全国大会

 公益社団法人日本技術士会が主催する、「第42回 技術士全国大会(北陸・富山)」の記念講演がこのほど、富山市の富山国際会議場で開催され、京都大学大学院教授で内閣官房参与の藤井聡氏が「国土強靭化に資する日本海国土軸の形成」と題し講演した。
 藤井氏ははじめに「技術を軽視するとリスクが発生し国が脆弱する。国政において技術を復活させるのが国土強靭化。技術とは、この現実社会で起こっている事実そのものについての知識のことだ」と説明。
 北陸新幹線予算決定時に、技術的な検討をしない安易なインフラ整備だと非難されたことを振り返り「それはデマだ。十分な費用分析を行った。実際、開業後には金沢駅には観光客があふれている。国土強靭化の本質にあるのは、デマを乗り越えることだ」とし、その上で「政府は限られた予算の中で、平時・有事の双方を見据えた地方創生を活性化せねばならない。一つの対策で有事の強靭化対策になるとともに、平時のデフレ脱却経済成長につながるものがあるなら、その優先順位を高めることが合理的だ」と指摘した。
 具体例として、新幹線整備を挙げ、「札幌を除く19政令指定都市のうち、8都市は始めから大都市で、その他の都市は新幹線沿線にある。大量輸送手段が整備された都市が発展した。明治時代には大都市であった金沢、富山に半世紀前に新幹線が通っていたら、国土の有り様は違っていた」と断言し、「北陸新幹線開通が人口の変動に大きな影響を与えるのは明白」と示した。
 また、道路整備にも同じことが言えるとし、世界の発展都市の高速道路網図や道路総延長とGDP成長率の関係図などを表示しながら解説。その中で「高速道路を造ることが産業に大きな影響を与え、GDP成長率と相関する。文明的に整備された都市の交通インフラストラクチャーがどうなっているのか、国際比較こそ技術者として一番に行わなければならないこと。交通インフラストラクチャーが巨大なインパクトをもたらすという事実を推考出来ない日本は、今後成長が見込めない」と現状を危惧した。
 最後に、名目GDPとインフラ投資額の推移表を示し、「公共事業を削れば、GDPが減る。GDPの要素の一部は公共事業費だ。インフラ投資額こそが景気回復に最大の寄与をもたらし、ひいてはデフレ脱却へつながる」と強く訴えた。

hokuriku