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秋田建設工業新聞社
2015/10/06

【秋田】秋田県港湾空港課/秋田港の防潮堤新設で概略案

 秋田県港湾空港課は、秋田港でレベル1津波に対応する防潮堤の新設を計画している。レベル2津波に対しては港湾従事者の安全な避難を見据え、秋田市が設定している避難場所までの移動時間などを考慮して避難タワーなどの確保を目指す。現在、L1・L2津波が襲来した際の秋田港における浸水区域設定や、新設防潮堤の設置位置などを検討する業務をパシフィックコンサルタンツに委託し着手している。
 レベル1津波(L1津波)は、施設の供用期間に発生する可能性が高い津波で、数十年から百数十年に1度と比較的発生頻度が高い。一方のレベル2津波(L2津波)は数百年から千年に1回の頻度で、現時点で想定される最大規模の津波。
 東日本大震災で被災した宮城県、福島県、岩手県では、もともとあった防潮堤の大半が全半壊した。国土交通省からはL1津波に対し、海岸堤防を基礎マウンドの嵩上げなどにより「粘り強い構造」にするハード整備、L2津波に対しては津波防護施設などのハード整備や、避難を軸としたソフト対策を組み合わせた多重防御で被害を最小化させるという考え方が示されており、被災地でも同方針に基づいた整備が進められている。
 現在、秋田港を対象に進められている検討業務では、L1・L2津波が襲来した際の浸水範囲を検討・設定し、最適な防潮堤の設置位置など概略の設計を進めている。防波堤の嵩上げについては防潮堤に比べ整備コストも嵩み、現実的ではないと考えられている。
 L2津波に対しては、臨港地区の港湾従事者の人命を守るため、秋田市が設定している津波避難ビル(ホテルルートイン秋田土崎など)に避難するまでの必要時間などを踏まえ、避難タワーなどの必要性も検討される。L1津波とL2津波への対策は総合的に検討する必要があるため、防潮的の新設に向けた詳細設計などへの着手時期は現段階で未定。
 県では総合防災課が、平成25年8月にまとめた「秋田県地震被害想定調査」と、昨年8月に国が「日本海における大規模地震に関する調査検討会」の報告で発表した断層モデルを比較しつつ、津波浸水想定調査委員会を立ち上げて専門的な見地から浸水想定の検証などを行っている。平行して現在は、パスコに津波浸水想定調査業務を委託し進めている。
 12月には県議会に中間報告し、来年1月には浸水想定を設定。年度末までかけて議会報告や市町村などに説明する計画で、港湾空港課ではこの浸水想定結果なども参考にしながら、港湾関連の対策を検討する構えだ。

提供:秋田建設工業新聞社