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建設経済新聞社
2015/10/09

【京都】塔の島改修、30年度完成に 導流堤イメージも示す

 近畿地方整備局淀川河川事務所は、塔の島改修事業について、27年度完成で工事を進めてきたが、硬質地盤による施工の難航、埋蔵文化財調査の優先、秋の観光への配慮により、事業期間を延長し30年度完成とする。
 第12回塔の島地区景観構造検討会で事業期間の延長を示した。
 塔の島地区の施工期間は、春の桜まつり等の観光のため工事の一部が不可で、出水期は工事施工が不可能なため、非出水期に限定されてきた。今回の見直しで、秋の紅葉時期の観光への配慮から一部不可となる期間が加わり、工事施工可能時期が12月頃から翌年3月頃までとなる。
 今後の工程計画によると、[STEP1]塔の川右岸側の護岸完成、[STEP2]橘島、塔の島の護岸完成、[STEP3]橘島、塔の島の概成、[STEP4]宇治川本川の掘削、島の上面整備を実施を予定する。
 塔の島地区の護岸は24年度から実施しており、27年度は橘島と塔の島の巻き込み部の護岸工事、喜撰橋の補強工事を予定する。
 植栽整備では、橘島は塔の島から桜7本を移植し、桜を9本新植。塔の島は桜7本を移植し、クロマツ9本、モミジ6本を島外へ搬出する。
 導流堤の設置について、整備目標として(平常時)@落差工からの越流による河川景観の確保A塔の島と橘島の間への導水による河川景観の確保B塔の川の水質悪化の緩和、(出水時)穏やかな塔の川の流れを確保するとともに、鵜飼・遊船環境の確保を挙げた。
 第11回検討会で提示した導流堤(案2)について、整備イメージを明らかにし、「導流堤は『塔の島が上流に延伸したイメージ』『塔の島が水面になだらかに落ち込んでいくイメージ』とし、洪水時(1500m3/s)に治水上の支障とならないようにできるだけ小さな形状とする」「上流の導水路及び対岸の宇治山田護岸の形状とあわせて、治水上支障のない範囲で、適切な塔の川への分流、河川景観に配慮した形状を設定する」と方針を示した。
 導流堤の構造は「塔の島との一体景観を確保するために塔の島護岸構造と同様の工法とする。表面は石材仕上げとし、石材内部には止水壁(コンクリート)を設置し、掘削高から根入れを0・5mとした構造とする」「また石材は設計速度5・3m/s時の掃流力に対して、単体で移動(転動や跳動)しない平均径を算出し、φ600o内外とする」「導流堤の法勾配は水面になだらかに落ち込むイメージとするため、宇治川側の護岸に合わせてラウンディングさせ、1:1の勾配とする」とした。
 宇治山田護岸のセットバックについては、下流の張り出し全区間(約135m)とした。宇治山田護岸の撤去した捨石をナカセコカワニナの模式産地へ流用することで経済性・環境性も向上するとした。護岸形式は宇治川・塔の川と同様の石積護岸とする。
 塔の島及び橘島の護岸及び導流堤等の詳細設計等を行う業務は東京建設コンサルタント関西本社(大阪市北区)が担当。