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西日本建設新聞社
2015/11/12

【熊本】引堤、河道掘削、堤防嵩上 個別案示す/球磨川治水対策協議会

 球磨川治水対策協議会の第3回会合が9日、球磨地域振興局であり、前回提示された9項目の対策手段のうち、川の断面を大きくする「引堤」「河道掘削」「堤防嵩上」の3項目を個別に実施した場合の概要について、九州地方整備局から報告があった。
 案では、球磨川を@下流部(河口〜遥拝堰間9`)A中流部(遥拝堰〜球磨川第2橋梁間43・4`)B人吉地区(球磨川第2橋梁〜川辺川合流点間14`)C上流部(川辺川合流部〜直轄上流端間25・4`)―の4区間に分けて検討した。
 下流部は「ダムによらない治水を検討する場」で積み上げた対策で流下能力が確保できるため、各対策とも検討の必要はないと判断された。
 中流部は、河道掘削を実施した場合、計画高水位を超過する区間を個別に実施し、河岸掘削約8万立方b(1カ所延長約0・5`)、河床掘削約200万立方b(10カ所計延長約10`、掘削高最大約3b)が必要となる。堤防嵩上の場合は、家屋が存在する区間を対象に最大約0・3b嵩上し、橋梁1橋の架け替えも必要となる。引堤は家屋・道路等のほとんどが移転となるため検討対象外とした。
 人吉地区で引堤を実施すると、対象延長は約14`、引堤幅は最大110bで、13カ所の橋梁架替(継ぎ足し)が必要とした。さらに、右岸側を引堤した場合は、排水機場3カ所・樋管28カ所の改築と、家屋等約570戸のほかホテル・温泉旅館・病院などの移転が必要となる。左岸側の場合は、樋管改築10カ所と、家屋約250戸の移転、人吉城跡を含む山付部約900万立方bの掘削が必要で、土捨場の確保も課題となる。
 堤防嵩上の場合は、計画高水位を超過する一連区間を対象に両岸約24`で約0・9〜1・3b嵩上げし、11橋を架け替え。沿川の家屋・旅館等200戸以上が移転対象となる。河道掘削は地質的な条件(人吉層が分布)から困難とした。
 上流部では、引堤の場合、8区間計3`で最大40bの引堤幅。橋梁架替(継ぎ足し)5橋、樋管改築5カ所と、家屋移転約50戸が必要になる。河道掘削の場合は、超過区間を個別に実施し、高水敷盤下げ掘削約40万立方b(5カ所計約3`、掘削高最大約4b)、河床掘削約9万立方b(3カ所計約1`、掘削高約0・5b)。堤防嵩上の場合は、超過一連区間約16`(両岸)で嵩上高約0・3〜0・5b。8橋の架け替え、沿川の家屋移転等を伴う。
 協議会には、流域12市町村から副市町村長等、熊本県から土木部長、企画振興部長、九地整から河川部長、河川調査官、八代河川国道事務所長が出席。流域市町村からは「上流部を整備して下流部に影響はないのか」(八代市)、「河床掘削で環境への影響は」(球磨村)、「相当な補償が想定されるが」(人吉市)などの意見があった。
 九地整では、次回会合でも引き続き残る6項目(遊水池、ダム再開発、流域保全等、放水路、宅地嵩上、輪中堤)の治水手段について、個別に実施した場合の概要を示していく方針。その後、対策の組み合わせ案の検討や、総合的評価などの協議に入っていく。

提供:西日本建設新聞社