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建設経済新聞社
2015/12/17

【京都】京都市の新庁舎整備事業 中庭などのイメージ公開

 京都市美観風致審議会第5回景観専門小委員会が15日、京都市内で開かれ、「京都市新庁舎整備事業」について事前協議した。27年度内に諮問にかける予定。
 景観専門小委では、西庁舎・北庁舎・分庁舎の新庁舎の外観デザインについて景観政策課が説明。実施設計で性能など詳細検討を行い、▽(分庁舎など)新築部分は本庁舎の背景として、本庁舎の存在を引き立てるとともに、透明感のあるガラスの外観デザインを採用▽使用する素材を統一し、庁舎全体での統一感を持たせつつ、各「通」に対しては方位・内部機能に応じ異なる表情をデザイン▽北庁舎北面・分庁舎南面などの執務室窓は窓下に腰壁を設け、メンテナンス床兼用の庇を設けて熱負荷の削減とメンテナンス性の向上▽使用する材料は可能な限り汎用性が高い素材を採用−の方針に従い、実施設計を進めていると報告した。
 御池通や河原町通の大通りに面し本庁舎と一体的に望見される部分はガラスのカーテンウォールによる透明性の高い表情でしつらえ、歴史的価値の高い本庁舎を引き立てる。北庁舎北面中央部(議場隣接部)や寺町通・押小路通に面した低層部もガラスのカーテンウォールで透明性の高い表現とし、「市民に開かれた庁舎」を建物自体で表現する。
 新庁舎に設ける庇の鼻先やメンテナンス手すりは既製の型鋼を用いシャープに表現。本庁舎の洗い出しや石張りの重厚な表情とは対比的な表現とする。
 日射遮蔽や近隣への視線制御が必要な面に対し、鋼材を格子状に組んだグレーチング材を適切な形状で配置。西庁舎西面は強い西日に対応して垂直面にスチールグレーチング製日除けを垂直面に用い、簾を意識した表現とすることで寺町通の景観に配慮する。分庁舎南面や北庁舎高層部は水平部材としてグレーチングを用い、特性を生かし軒裏が暗くならないようする。
 新庁舎の西庁舎・北庁舎の寺町通・押小路通に面した軒庇、分庁舎のピロティ・4階屋上庭園回りなど、市民の目に留まりやすい箇所の軒裏は積極的に天然木を利用する。
 押小路通に面した新庁舎の北庁舎・分庁舎のピロティ内独立柱、分庁舎のコア壁など市民の留まりやすい箇所で構造上・機能上コンクリートの壁面が必要な箇所は杉小幅板型枠を使用し、木の印象を残した温かみのある素材感とする。
 西庁舎は南面(御池通側)がカーテンウォール(ダブルスキン)とする。西面(寺町通側)は基本設計時のアルミ製ルーバーから「スチールグレーチング製ルーバー」に変更した。
 せっ器室タイル張りを一部採用し、現・西庁舎の記憶を継承する。柱はコンクリート化粧打放し(杉小幅板型枠)とし圧迫感を低減。夏季の日射負荷削減やメンテナンス性の向上のため、片引きアルミサッシ(腰壁あり)、スチールグレーチング製メンテナンス床兼用水平小庇・鋼製手すりを採用する。軒天は木板張り。
 北庁舎は東面(河原町通側)がカーテンウォール(ダブルスキン)、北面(押小路通側)は片引きアルミサッシ(腰壁あり)、スチールグレーチング製メンテナンス床兼用水平小庇・鋼製手すりを採用する。
 分庁舎は片引きアルミサッシ(腰壁あり)、スチールグレーチング製庇、RC製庇+鋼製手すりを採用する。柱はコンクリート打放し。一部壁はコンクリート化粧打放し(杉小幅板型枠)とする。軒天は木板張り。
 市役所前広場、中庭、屋上庭園それぞれに特色を与え、京都の自然と時間を表現する。
 市役所前広場は「絵巻広庭」とし、本庁舎を引き立てる常緑樹や落葉樹を配置、緑地とベンチ(花崗岩)で人がたたずむ場所をつくる。透水性舗装とする。遊具広場は移設する。
 本庁舎に霞庭(中庭)を東西に設け、本庁舎屋上には縁庭(屋上庭園)を設ける。
 分庁舎には西側に屏風広庭、北側に扇広庭を設け、敷地中央に錦庭(中庭)を設ける。
 新庁舎整備事業は、本庁舎(RC造地下2階地上4階建、延1万6678u(建築面積約3400u))を使用しながら改修工事を進めるとともに、北庁舎と西庁舎は建替え(建築基準法上は本庁舎の増築扱い)、押小路通北側には分庁舎を新築する計画。
 押小路通をまたいで北庁舎3階と分庁舎4階をつなげる上空通路(両側面はガラス張り)を新設、本庁舎からゼスト御池地下街につながる地下通路を新設する。
 本庁舎は基礎部分に免震部材を設置する基礎免震工法を採用、西庁舎と北庁舎は地下階の柱頭に免震装置を設置する柱頭免震工法を採用し、本庁舎、西庁舎、北庁舎の3棟が一体となる免震構造とする。分庁舎も柱頭免震工法を採用する。
 建替える庁舎の規模は、西庁舎がS造一部SRC造・RC造地下1階地上4階建、延約3100u(建築面積約650u/高さ20m)、北庁舎がS造一部SRC造・RC造地下2階地上7階建、延約1万7100u(建築面積約2450u/高さ31m)、分庁舎がS造一部SRC造・RC造地下2階地上4階建、延約2万4100u(建築面積約3900u/高さ18m(軒高15m))。
 西庁舎と北庁舎は一体とし、スペース効率を高める。寺町通に面する1階部分に店舗を配置し賑わいを創出。敷地内に歩行空間を設け、押小路通、寺町通の歩行空間を創出する。
 建替えのため解体する現・西庁舎はRC造+S造4階建、延1989u(建築面積521u)、現・北庁舎はRC造+SRC造地下2階地上5階建一部8階建、延1万2695u(建築面積1754u)。
 27年12月の入札により、京都市新庁舎整備工事ただし、西庁舎その他解体撤去工事は上村−大坪特定建設工事JV(京都市下京区)、京都市新庁舎整備工事ただし、寺町会議室その他解体撤去工事はイワジツ建設(京都市伏見区)が落札した。
 このほか、分庁舎建設予定地の押小路公用駐車場その他解体撤去工事を道原建設(京都市伏見区)で既に実施。議員室他改修工事を若井工業(京都市左京区)、議員室他改修電気設備工事を西三電気工業所(京都市西京区)で実施、庁舎前広場照明設置工事を大島電気工事(京都市北区)で実施した。
 京都市新庁舎整備事業に伴う設計業務委託ただし、建築及び設備基本設計・実施設計は日建設計大阪オフィス(大阪市中央区)。