トップページお知らせ >地方ニュース

お知らせ

地方ニュース

日本工業経済新聞社(群馬)
2016/01/15

【群馬】予定価格事前公表は「不当働き掛け防止効果」

本年度の群馬県公共工事発注者協議会が14日、県庁で開催され、国土交通省関東地方整備局や県、市町村の入札契約制度担当者らが一堂に会した。改正品確法の運用指針の内容を中心に意見交換が行われた。同指針では予定価格について、ダンピング防止などの観点から「原則として事後公表とする」とされている。ただ、事前公表の自治体からは「外部からの(職員に対する)圧力防止につながる」との発言もあり、見解の相違も浮き彫りになった。
協議会では国や県の担当者が運用指針に対する理解を要請した。運用指針では予定価格について「入札前に公表すると、適切な積算を行わずに入札を行った建設業者が受注する事態が生じるなど、建設業者の真の技術力・経営力による競争を損ねる弊害が生じかねないこと等から、原則として事後公表とする」ことを「実施すべき」としている。
それでも事前公表とする場合には「その適否について十分検討するとともに、適切な積算を行わずに入札を行った建設業者がくじ引きの結果により受注するなど、建設業者の技術力や経営力による適正な競争を損ねる弊害が生じないよう適切に取り扱うものとする。弊害が生じた場合には、速やかに事前公表の取りやめ等の適切な措置を講じる」と明記している。だが現実として、予定価格などを事前公表していることで、くじ引きが多発している自治体もある。
本県35市町村のうち、予定価格を事前公表としているのは13市町村(事前公表と事後公表併用の自治体を加えると14市町村)。事前公表の自治体からは「外部からの圧力防止につながる。現段階で事後公表にする検討予定はない」「今のところ問題はないが、庁内ワーキングで『何かあった場合、すぐ事後公表に変えられるように』とうたっている」などの声が出た。一方で、本年度から全面的に事後公表とした自治体担当者は「順調に入札が進んでいる。職員への働き掛けの話も全く聞いていない」と話した。
運用指針ではまた、ダンピング受注防止のため、最低制限価格制度か低入札価格調査制度の適切な活用を徹底することも「実施すべき」で、価格を定めた場合は入札前に公表しないものとしている。ただ、最低制限価格制度を導入している自治体は20市町村、低入札価格調査制度は8市町にとどまっており、前年度から変わっていない。最低制限価格制度未導入の自治体からは「小規模な工事が多く、現行制度で円滑に推移している」との声もあったが「『実施すべき』なので導入に向けて検討したい」と今後の導入に前向きな自治体もあった。
最低制限価格制度か低入札価格調査制度のいずれか、または両方を導入しているが、価格を事前公表としている自治体からは、その理由として予定価格と同様、職員に対する不当な働き掛け防止のほか、透明性の確保などが挙がった。「入札不調が回避できている」との意見も出た。