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日刊建設タイムズ社
2016/03/15

【千葉】新年度で先導実証研究/水素利活用研究会が提言案

 本県における水素の利活用について検討する「千葉の特色を活かした水素の利活用に関する研究会」(座長=岡崎健・東京工業大学特命教授)の第4回目(最終回)が11日、千葉市内のホテルプラザ菜の花で開催され、「千葉の特色を活かした水素の利活用に関する可能性及び方向性等について」の提言案をまとめた。また、県は本年度の研究会の提言を踏まえて、来年度で先導実証研究事業(モデル事業)の構築に向けた検討を行い、関係事業者、関係団体で情報発信や情報の共有化を進める考えが示された。
  提言は、水素の需要拡大やインフラ整備、企業間連携による効率的な供給などを求めた。モデル事業の構築では、県が新年度で新たな研究会を立ち上げ、本年度の研究会の提言を受けて、副生水素の利用や使われていない再生可能エネルギーの余剰電力の活用など、将来の商用化に向けた検討を行う予定。県の新年度予算に「千葉の特色を活かした水素の利活用に関する研究事業」として200万円を措置。県の特徴を活かした水素の利活用について調査研究を進める。
  本県での水素の利活用に向けては、京葉臨海コンビナートは、大型火力発電所の新設計画が複数動き出しており、首都圏でのエネルギーの一大供給拠点として重要な役割を担うとし、東京湾内で大型タンカーを荷役できる係留施設が現在、神奈川県と千葉県のみであることから、発電事業用水素発電の本格導入時には水素の輸入拠点と発電拠点の双方で立地優位性があるとした。
  また、家庭用燃料電池(エネファーム)については、県の集合住宅の割合が約44%であることから、集合住宅への導入促進により量産効果を高めることが可能とした。
  提言案は、本県の現状と課題を整理したうえで、需要サイドで「千葉県における水素の普及拡大に向けた需要の拡大とインフラ整備の促進」、供給サイドで「千葉県への水素関連企業の集積及び水素の利活用による産業振興の促進」の2項目にまとめた。
  需要促進では、エネファームの市場自立化に向けた効果的な支援の継続や、水素ステーションの適切な配置、設置形態・設置方式の選択、運営コスト低減を進める必要性を指摘。産業振興の促進では、京葉臨海部に水素を取り扱う企業が多く立地していることから、企業には企業間の連携した効率的な供給の検討を、県には県内企業への支援を求め、県内企業を支援することで県内産業の振興が期待されるとした。また水素発電では、国や専門機関、発電事業者等と連携しながら、水素発電の導入に関する検討事項の洗い出しや課題の整理に着手することが必要とした。
  県は、水素ステーションの適切な配置場所として@東京湾アクアラインの着岸地の木更津市A幕張新都心B成田国際空港のある成田市――などが考えられるとし、エネファームの普及拡大が、環境負荷低減に向けた取り組みや少子高齢化社会でのコンパクトシティ、スマートシティなど低炭素社会のまちづくりに繋がると見ている。このほか、水素の有用性・安全性についても提言に盛り込み、水素に対する県民の理解の浸透を図る方針。
  提言は今後、委員の意見を取り入れて修正を行ったうえで最終案をまとめる。k_times_comをフォローしましょう
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