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日刊岩手建設工業新聞社
2016/04/25

【岩手】「集まりの重要さ」(日刊岩手建設工業新聞・時評)

 熊本県を中心とする大地震の報に接し、「個人として何かできることはないか」と心を痛めているが、阪神大震災や東日本大震災など大地震災害を教訓に、大きな団体としての取り組みは素早く進んでいるようだ。
 被災地支援として、先週21日に県立中央病院の医療チーム(医師、看護師、薬剤師、業務調査員の計5人)が、全国知事会からの派遣要請を受け、熊本県の4市町に向かった。
 期間は27日までというが、長期的な支援活動に備えて、県や関係機関、医療局などによる「いわて災害医療ネットワーク」を立ち上げている。
 また前日の20日には、災害廃棄物処理に詳しい県職員3人を現地に派遣している。
 これも全国知事会を通して熊本県から要請されたもので、東日本大震災時に災害廃棄物処理業務の中心的な役割を担っていた職員たちがその任務に当たり、24日まで熊本県庁を中心に、被災地のニーズをくみながら、がれきの分別方法や廃棄物に関する情報収集、法律上のノウハウを支援するという。
 どちらも全国知事会からの要請である。
 全国知事会と言えば、平成18年12月18日の会議で決定された「都道府県の公共調達改革に関する指針」に基づき、一般競争入札の導入が急務となり、岩手県は翌19年7月より一部随意契約を除いて、工事全てを条件付ではあるが、急ぎ一般競争入札になったことが根強く心に残り、あまり良い印象がない。
 しかし、「このような緊急事態には、重要な集まり」と、横軸連携の必要性を再認識する。
 今月20日、近畿地方の8府県4政令指定都市でつくる関西広域連合の加入団体は相次いで、地震による被災者を受け入れるための公営住宅などを無償提供すると発表している。
 16日未明の本震直後の安全確認の時期から1週間以上が過ぎ、生活支援に向けて、日本中の動きが活発になってきたようだ。その活動は広く日本中に報道されている。
 発災直後は自衛隊や警察、消防署署員が現地に入り、必死の活動が報道され、安全確認の大切さを痛感した東日本大震災大津波後のあの時の思いがよみがえってきた。
 自衛隊をはじめ、多くの警察官や消防隊には、今でも感謝している。震災の翌日には、大阪府警がすでに到着していた。
 同時に地元建設業も当日から、道路啓開に、行方不明者捜索に、同じ場所で懸命に作業しているのだが、なぜかクローズアップされない。どのような動きをすれば「建設業の重要な働き」が適正に評価されるのかと残念に思っている。
 このたびの熊本地震後の安全確認のために集まった人々の中には、必ず建設機械を操作する作業員がおり、傾いた電柱では電気工事士が配線を直し、止まった水道の点検には配管工が家々を回っていた。そして、現場で作業する人々の後方には、必ず地域に密着した建設企業が存在し支援している。
 大規模な土砂崩れ現場で、いまだ大地が揺れ続けているにもかかわらず、安全確認のため、かなりの台数の建設機械が動いていた。
 県建設業協会(木下紘会長)は、今年度の事業計画の一つとして、「担い手の育成・確保や建設業の構造改善の推進に向けた取り組み強化」を挙げ、「若年者の入職促進を図り、建設業の将来に向けた在り方の検討を進め、県内建設企業の持続的な経営の実現につなげたい」としている。この思いは全国津々浦々の「建設企業」は同じだろう。
 担い手の育成や確保、構造改善のためにも、まずは正しい真の建設業の姿を広く一般に理解してもらうことが不可欠だ。災害時のみならず、日頃からの地元建設業の役割を地域住民はもとより広く一般に発信する方法を考えたい。
 そのためには、“集まりの重要さ”を業界全体で共有する必要があると思っている。
 「安全確認のため、自衛隊や警察、消防隊、そして建設業の皆さまの努力により…」と報道され、建設業の役割の重要さを広く世論に浸透させたいものだ。