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福島建設工業新聞社
2016/05/13

【福島】維持管理・奥会津モデルの業務拡大検討

 県は、宮下土木事務所管内で取り組む維持管理業務の包括的民間委託(中山間地域道路等維持補修業務委託=奥会津モデル)について、維持補修工事や測量調査、点検など業務範囲の拡大を視野に入れた新たな維持管理方式を検討する。業務拡大に伴い必要となる組織形態や技術者、適当な契約期間なども考察し、建設業の担い手確保が図られ、将来的に持続可能な中山間地域の維持管理体制を構築する。年度内に新方式の枠組みをまとめ、29年度からの維持管理業務に反映させる方針だ。
 県内建設業界でも、公共土木インフラの老朽化時代の到来や復興需要の収束を見据え、メンテナンスサイクル(点検・診断、調査設計、施工)の受注体制確立や共同受注方式に関する調査検討が進められており、共同受注の先進地である宮下地区での取り組みに注目が集まりそうだ。
 宮下土木管内では21年度から24年度までの4年間で、道路など公共土木施設の維持管理や除雪、災害対応業務を一括発注し通年契約するモデル事業を試行。有識者等で構成する検討会の評価を踏まえ、25年度から本格実施に移行し、複数年契約(2カ年)を試行している。27・28年度業務は宮下地区建設業協同組合(佐久間源一郎理事長)が担当。
 奥会津モデルは、地域建設業の共同受注方式の方向性の一つとして全国に周知されるなど一定の成果を上げているが、建設業の担い手不足等で維持管理体制の確保が困難となり、安全・安心な地域の存続自体が依然懸念されることから、現モデルをブラッシュアップする。
 具体的には現方式の検証等を行った上で、維持補修工事や測量調査、各種点検など包括委託範囲の拡大とそれに伴う官民の組織形態を検討。点検から工事までをマネジメントし管理者を補助するメンテナンスマネージャー(MMR)の導入も、必要な資格や技術等を含めて可能性を探る。
 契約期間は試行中の2カ年をベースに現状維持、短縮、延長のメリット、デメリットを検証。業務の中で、中山間地域で建設業が担い手を確保できる手法も検討する。モデル事業検討会のこれまでの協議内容や、県中建設事務所が27年度に行った公共施設の包括的維持管理手法の検討結果も参考とする。
 今後設置する有識者による検討委員会の議論や、宮下地区建設業協同組合との月例会議で得た意見等も踏まえて、29年度以降の対象業務、実施体制、契約年数などを固める。現業務の契約期間が今年度までのため、29年度業務の発注まで間に合うよう取りまとめる。
 検討業務は「中山間地域道路等維持補業務委託検討業務」として、各検証・検討から検討委員会等の運営補助、検討内容を踏まえた新たな施策導入の必要性についての提案までを外部委託する。会津若松建設事務所が公募型プロポーザル手続きを進めており、6月2日まで技術提案書等を受け付け、同13日のヒアリングを予定している。