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建通新聞社(中部)
2016/05/18

【岐阜】県美濃土木 2016年度事業展望

 県土のほぼ中央に位置している岐阜県美濃土木事務所。東海北陸自動車道と東海環状自動車道が美濃関ジャンクションで連結し、関、美濃、富加関、関広見の四つのインターが存在する交通の要衝となっている。物流や観光など地域経済発展の基盤として、これらと連携する管内主要幹線道路の整備が急がれている。また、地域住民の安全安心へ河川、砂防整備や山間部での土砂災害対策などのハード事業の推進も重要だ。白河忠良所長に16年度の事業概要を聞いた。(聞き手は岐阜支局=村松衡)
美濃土木 白河忠良所長 ――現状と課題は
 「管内には、管理道路が254・8`あり、改良率は72・0%と県の平均65・0%をわずかに上回っている。しかし全国平均の72・8%には及んでいないのが現状だ。また、長良川をはじめとした板取川、津保川、武儀川などの主要一級河川がある。近年頻発する短期的・局地的集中豪雨による洪水被害に備えるため、長良川の美濃市立花地内の河川改修をはじめ、ほかの河川でも河道掘削・護岸工事などの治水対策を進める必要がある」 「水防の取り組みとしては2016年度、氾濫シミュレーションを実施し氾濫ブロックの見直しをする。道路防災面では、緊急輸送道路ネットワーク整備計画に基づき、橋梁の耐震化など防災・減災対策に取り組むとともに、老朽化した道路や橋の維持、管理でメンテナンス計画を進めなければならない。樋門や陸閘(りっこう)といった河川構造物や、砂防施設についても、年々老朽化が進んでおり、早急に社会基盤の老朽化対策を進める必要がある。さらに、交通安全対策として自転車歩行者道や歩道の整備を実施し、安全で安心な地域づくりを進めていく」
 ――予算規模、編成について
 「当土木事務所の当初予算は、公共・県単を合わせて約24億円であり、前年度当初予算と比べ、ほぼ同額となっている。工事を進めるためにはまず用地の確保が必要となることから、当初予算は、設計費や用地補償費へ優先的に配分し、工事ストックの確保を図る予定。また、ゼロ県債の活用を含めた上半期発注により工事の平準化を図りたい」
 ――基本方針について
 「岐阜県では、国土強靱(きょうじん)化に関する総合的かつ計画的な推進を図るため、15年度から5年間の推進方針を示した『岐阜県強靱化計画(国土強靱化地域計画)』、『岐阜県強靱化アクションプラン』を策定した。このプランに基づき個別施策の着実な推進を図る」
 「また、県土整備部の基本目標である、『ぎふの未来を支え、命と暮らしを守る強靱な県土整備』と、都市建築部の基本方針である、『住みたい、訪れたい、魅力あふれるまちづくり』を達成するため、当事務所では政策の5本柱を定め、これに基づき、安全・安心・活力・自立を支える社会基盤整備を進める」
 ――重点施策(主な事業)について
 「道路整備事業、街路事業としては、国道248号バイパスで、関市山田工区の4車線化に向けた整備と、山田交差点の左折車線整備を進める。国道418号関市肥田瀬工区は、15年度に引き続き用地補償および工事を行う。国道256号関市尾倉工区は、15年度から事業化しており、本年度は構造物設計を行う。主要地方道岐阜美濃線の美濃市極楽寺工区は、4車線化事業を進めており、本年度は用地補償および宮川橋の拡幅工事を行う。主要地方道美濃洞戸線の美濃市蕨生工区は、13年度から事業を進めており、本年度は工事を実施する。一般県道上野関線の美濃市半道工区は、15年度に引き続き用地補償を進めていく」
 「また、道路維持事業としては、道路災害防除事業で一般県道御手洗立花線の美濃市立花工区および主要地方道関金山線の関市上之保工区で落石対策事業を継続して進める。交通安全事業として、主要地方道関金山線の関市下之保工区および、主要地方道美濃加茂和良線の関市富之保工区で歩道設置工事を継続する。また、主要地方道美濃洞戸線の美濃市安毛工区で用地測量を進めていく」
 「このほか、舗装道補修事業では、損傷の著しい主要地方道白鳥板取線(関市板取)、主要地方道美濃加茂和良線(関市上之保)、一般県道勝山山田線(関市倉知)などで舗装補修工事を行う。橋梁補修では、緊急輸送道路である主要地方道関本巣線に架かる千疋橋を耐震補強する」
 「河川事業は、美濃市立花地内の長良川(立花工区)改修で引き続き用地補償と工事を行う。関市保戸島地内の今川(保戸島工区)河川改修については、引き続き用地補償と工事を行う。津保川改修については、明生町地内(上流工区)で護岸設計を実施する。13年度に着手した関市明ケ島地内の小那比川河川改修については、護岸設計などを行う」
 「砂防事業・急傾斜地崩壊対策事業としては、砂防事業について、継続事業で関市下之保地内(大洞谷)、美濃松森地内(亀野谷)の用地補償および工事を進め、関市下之保地内(寺洞)では補償調査および用地補償を進める。また、緊急改築事業である関市板取地内(島口川)の設計、補償調査、丈量測量を進める。急傾斜地崩壊対策事業については、継続事業の関市中之保地内(間吹2)の工事、関市下之保地内(町1)および関市洞戸市場地内(神明前)の丈量測量、補償などを実施する」
 「都市公園事業は、関市にある県営百年公園で、老朽化が著しい公園南側の児童園の遊具更新をはじめ、施設の維持管理、枯損木の撤去などを行い、訪れる方が安全に、楽しく過ごせる公園づくりを促進する」
 ――最後に建設業界に対してのメッセージを
 「建設業は、地域経済や雇用を支えるために、なくてはならない基幹産業。また、災害時の応急復旧、冬期の除雪作業など、地域の安全・安心に欠くことのできない地域防災力の要でもある」
 「建設業をとりまく環境は依然として厳しい状況だが、地域の安全・安心を支える優良な建設業者が今後とも存続していくことがとても重要だと考えている。建設業界の人材確保、人材育成に対し、今後も県としてできる限りの協力をするので、業界においても、より一層技術の研さんを積み、より高い品質の社会基盤を地域の皆さんに提供するよう努力してほしい」
 「15年度の美濃土木事務所発注の工事では、人身事故が1件も発生していない。これは建設業界の皆さんのたゆまぬ努力のたまものであり、感謝している。今後も引き続き安全の確保に努めていただき、こうした取り組みが、建設業のマイナスイメージを払拭(ふっしょく)し、若い人材が業界を目指す一助となることを期待している。また、地域貢献などを通して、地域から親しまれ、地域に密着した業界として頑張ってほしいと考えている」

提供:建通新聞社