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建通新聞社(東京)
2016/05/17

【東京】都港湾審 海上公園の在り方答申まとめる

 東京都港湾審議会(会長・草刈隆郎日本郵船特別顧問)は、「海上公園を中心とした水と緑のあり方」の答申をまとめた。東京湾を六つのエリアにゾーニングした上で、魅力的な水と緑のネットワーク構築や環境負荷の低減、災害に強いまちづくりを進めていく方針を打ち出すとともに、それらを実現するために民間活力の活用や市民協働を促す内容。都はこれを踏まえ「海上公園ビジョン」と「環境整備誘導のガイドライン」を2016年度中に策定する考えだ。
 答申では、東京湾を▽運河を臨むエリア(芝浦・品川・大井・平和島)▽住み憩うエリア(月島・晴海・豊洲・有明北)▽観光・MICEエリア(台場・青海・有明南)▽スポーツエリア(辰巳・夢の島・若洲)▽なぎさ共存エリア(葛西)▽東京湾ゲートエリア(第1・2・3航路周辺)―の六つのエリアに区分し、それぞれの特徴に応じた水と緑の目標を定めた。
 運河エリアについては、運河沿いの自然豊かな空間を保全しながら、連続的な水辺の遊歩道や緑道を拡充し、回遊性を高める。民間事業者との連携によって運河を臨むにぎわいのある空間を創出する。
 居住系のエリアでは、公園緑地や住宅地、商業施設が一体となった環境を形成し、オリンピック・パラリンピック競技施設などと連携しながら開放的・連続的な空間を創出。スマートエネルギー化された都市の中に緑陰のある空間を確保する。
 観光・MICEエリアは東京タワーやレインボーブリッジといった東京を代表する景観や多くの商業施設が集積している。これらの資源を有効に活用して魅力的な空間を形成するとともに、クルーズ客船を利用した来訪者など国内外から訪れる人々でにぎわう水際線やプロムナードを創出する。
 スポーツエリアについては、大規模な公園緑地を緑道や水際線でつなぎ、オリンピック・パラリンピック競技会場などのスポーツ施設に快適にアクセスできる空間をつくる。また、子供から高齢者、市民レクリエーションからトップアスリートによる競技まで幅広く利用されるスポーツ拠点を、民間活力を活用しながら形成していく。
 なぎさ共存エリアでは、野鳥や水生生物などの貴重な生息地を保全しつつ、人と海のかかわりを重視した空間を創出。併せてオリンピック・パラリンピック競技施設となるカヌー(スラローム)会場などと公園が連携した、にぎわいのある空間を形成する。
 東京の海と空の玄関口であるゲートウェイエリアは、東京港と羽田空港で身近に感じられる空間を創出するとともに、解放感のある空間を生かして憩いと交流による活気を地域に生み出す。
 これらを実現するため、道路や構造物によって分断されている水辺・緑地空間にデッキを設置したり、公園周辺の自転車道と一体となったサイクリングルートの設置、夜間照明の充実によるランニング空間の改善、適正な樹林地管理などが必要だと指摘。再生可能エネルギーの活用や、救援活動拠点としての園路改修や非常用照明の設置、民間事業者による公園施設の設置、PFIを活用した公園のリニューアルなどを提案している。

提供:建通新聞社