トップページお知らせ >地方ニュース

お知らせ

地方ニュース

建通新聞社(中部)
2016/05/23

【岐阜】県可茂土木 2016年度事業展望

 岐阜県可茂土木事務所は、美濃加茂市、可児市、加茂郡(坂祝町、富加町、川辺町、七宗町、八百津町、白川町、東白川村)、可児郡(御嵩町)の2市7町1村を管轄する。
 南部は濃尾平野北東部の平たん地・丘陵地で人口集中が進み高速道路などの幹線道路の整備により企業の進出が進む一方、北部は急峻(きゅうしゅん)な地形の山間地域で、過疎化と高齢化が進んでいる。そのため安全な生活・産業道路の整備が急がれる。4月に着任した船坂徳彦所長に管内の16年度事業計画を聞いた。(聞き手は岐阜支局=武藤省吾)
 ―新任地での抱負は。可茂土木 船坂徳彦所長
 管内の県管理道路は432・8`bあり、中山間部では、4カ所の異常気象時交通規制区間があるなど緊急時の対応や生活に支障を来している。一方都市部では、交通集中による渋滞と歩行者の安全確保が大きな課題となっている。現在の道路改良率は59・7%と県の平均65%を大きく下回っている。
 また可茂地域は2010、11年と局地的な集中豪雨により大きな災害を受けた。異常気象に備えるための河川整備、土砂災害防止対策、そして災害に強い道路整備を進めるとともに、災害の危険性を住民に認識してもらうことが重要だ。
 この状況を踏まえ、ハード対策とソフト対策を効果的に組み合わせた防災・減災対策の強化と、自然と共生した河川整備を行い「清流の国ぎふ」づくりを推進したい。
 ―16年度の基本方針は。
 可茂地域の未来を支えるための幹線道路整備、県民の命と暮らしを守るための道路整備、河川整備と土砂対策などの事業を、国、県、市町村や建設関係団体などと連携・協力して地域住民に信頼されるよう丁寧な対応で進めたい。
 ―重点施策(主な事業)について、まずは道路整備から。
 「幹線道路の整備」では、八百津方面から東海環状自動車道へのアクセス道路となる多治見白川線伊岐津志トンネル(仮称)の16年度供用開始を目指し、引き続き整備を進める。
 このほか、異常気象時通行規制の解除に向けて七宗町上麻生地内の可児金山線および白川町黒川地内の白川福岡線の改良事業を継続。坂祝町黒岩地内の富加坂祝線と可児市下恵土地内の街路事業では用地買収を継続する。 「命と暮らしを守るための道路整備」では、主要地方道多治見白川線の御嵩町地内で亜炭廃坑による路面陥没対策事業を進めている。また、12年に発生した笹子トンネルの天井板落下事故を受けて、管内トンネルの天井剥落対策を進めている。
 舗装補修事業では、関金山線の七宗町神渕地内、多治見白川線の可児市大森地内などで事業を行う。交通安全事業では、野上古井線の八百津町上牧野と可児金山線の可児市中恵土で通学路歩道整備を進める。道路災害防除では国道256号の東白川村神土地内などで落石防止対策工事を継続する。
 ―河川整備の計画は。
 「清流の国ぎふ」づくりで、川辺町下飯田地内の飯田川で自然と共生した河川整備を行っていく。また、10、11年の局地的集中豪雨により被災した可児川、久々利川、加茂川などにおいて流下能力拡大のため改修を継続する。加茂川については美濃加茂市太田町地内で総合流域防災事業を進めるほか、可児川については広域河川改修事業として御嵩町伏見で流下能力を確保する河道掘削を進める。また、浸水被害の発生した久々利川では可児市久々利地内で用地買収を進めるとともに、久々利橋架け替えの工事、護岸整備を進める。
このほか、美濃加茂市下米田町の深渡川で護岸整備を継続する。
 ―砂防・急傾斜地崩壊対策は。
 土砂災害防止対策については、土砂災害特別警戒区域に避難所など優先順位の高い保全施設のある箇所や、10、11年の局地的集中豪雨により被災した箇所について砂防施設や急傾斜地対策施設を順次整備していく。
 主な事業としては、砂防事業で美濃加茂市三和町の鯉下り川で用地買収と工事を進める。急傾斜地崩壊対策事業では、七宗町神渕の古摩と八百津町杣沢、可児市兼山の盛住、白川町下佐見の成山、東白川村神土の平で継続して事業を進める。
 ―県営公園関係は
 管内には、花フェスタ記念公園と平成記念公園(日本昭和村)の県営大規模公園が二つあり、公園施設の長寿命化計画に基づき、老朽化した施設修繕などを計画的に進めていく。
 ―地域建設業に対してメッセージを。
 少子高齢化、気象変動など多くの課題がある中で、しっかりとした社会資本の存在が将来にわたり安定した社会を維持するために必要だ。
 地域の建設業はこうした社会資本の整備や維持管理に不可欠な存在だ。突発的に起こる災害時の対応やその後の復旧、休日昼夜を問わない応急対応や除雪などでいつも地域の安全・安心を支えているので、大変感謝している。
 公共事業の地域からのニーズは依然として高く、老朽化する社会資本のメンテナンスなど今後やらなければならない事は多い。土木事務所としても厳しい財政事情の中で、効率的な業務発注による工事の平準化などにより着実に整備を進めていきたい。建設業の皆さまには今後とも高い品質の工事を目指し、地域住民から信頼され応援される建設業界として、ぜひ頑張っていただきたい。

提供:建通新聞社