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建通新聞社(中部)
2016/05/25

【岐阜】県恵那土木 2016年度事業展望

 岐阜県恵那土木事務所は、県東南端の恵那市と中津川市を管轄する。地形の条件から過去に多くの災害が発生しており、地域からも砂防設備や河川の改修が望まれている。また、2027年のリニア中央新幹線開業に向けて濃飛横断自動車道などのアクセス道路整備を進めていく。今井久朗所長に16年度の主要事業を聞いた。
(聞き手は岐阜支局=武藤省吾)今井久朗所長
 −16年度の予算規模、編成について
 「当初予算の総額は約25億円。事業別では、道路建設事業が約7億円、道路維持事業が約10億円、河川事業が約3億円、砂防事業が約5億円となった」
 −16年度の基本方針は。
 「当事務所では『清流の国ぎふ』づくりや『県土整備ビジョン』を念頭に、管内の中津川市と恵那市の未来を支え、命と暮らしを守る強靱(きょうじん)な県土整備を着実に進めるため、『活力を生む道路整備』『安全・安心な県土づくり』『社会資本を支えるパートナーとの協働』を施策の3本柱に位置づけて主要事業を進める」
 「リニア中央新幹線の岐阜県駅が中津川市西部のJR美乃坂本駅付近に設置されるが、開業効果を中津川市だけでなく、岐阜県全域に広く波及させる必要がある。そのためには、アクセス道路整備が重要だ。県では駅周辺の南北軸として、濃飛横断自動車道中津川工区の5`区間の整備を行う。15年10月の都市計画決定を経て、16年4月に国の補助事業として新規事業採択された。濃飛横断自動車道は沿線地域の生活圏拡大や、主要都市、交通拠点へのアクセス向上、観光面での経済効果なども期待されており、27年のリニア開業に合わせて供用できるよう計画的に整備を進める必要がある」
 −重点施策(主な事業)について。
 「16年度の道路建設事業では、豊田明智線(恵那市明智町和合)で進めている道路改良事業を年度内に完成させるため工事を進める。また、恵那市上矢作町の国道418号下川原工区では、幅員が狭く線形が悪いことから道路拡幅を行っており、早期完成に向けて事業を進める。国道256号中津川市上野では、幅員が狭く線形が悪い区間の2車線化を進めており、15年4月の坂下本郷工区の完成に続き、夏ごろの完成を目指し上野寺尾洞工区の工事を進める。また、16年度は引き続き下野工区の道路改良事業を行う」
 「道路維持事業では、優先的に耐震対策が必要な緊急輸送道路の国道257号・城山大橋(中津川市駒場)、瑞浪大野瀬線・出合大橋(恵那市串原)の耐震補強工事を行う。国道256号・付知南大橋の防護柵の付け替えや補修工事も行う」
 「舗装補修では、アセットマネジメントに基づく優先度に従い、主要幹線道路の国道256号、257号、363号など管内各所で舗装補修を行う。このほか、道路パトロールに加え、MS(メンテナンスサポーター)制度などを用いて地域住民と連携した道路維持活動を進める」
 「交通安全事業では、優先的に通学路の歩道整備を進めており、中野方苗木線(中津川市高山)、瑞浪上矢作線(恵那市山岡町下手向)、多治見恵那線(恵那市三郷町佐々良木)で用地買収を進める。このほか、早急に歩行者の安全確保が必要な国道363号(恵那市明智町吉良見)、中津川田立線(中津川市北野)、福岡坂下線(中津川市上野)においても用地買収を進める」
 「落石・崩壊事故を防ぐ防災事業では、国道257号(恵那市上矢作町)、豊田明智線(恵那市明智町)などで設計と用地買収を行い、主要な骨格幹線道路ネットワークおよび緊急輸送道路の雨量規制区間内要対策箇所の解消を進める」
 「河川事業では、濁川(恵那市大井町)において、JR中央本線上流側の河川改修工事を行う。また、リニア中央新幹線駅に隣接する千旦林川(中津川市千旦林)で護岸工の設計を行うほか、小里川(恵那市山岡町上手向)では用地買収に着手し、明知鉄道山岡駅周辺の治水安全度向上を図るため、市道橋の架け替えを含めた検討を行う」
 「砂防事業では、避難所などの保全を図るため、谷下川(恵那市上矢作町)で砂防堰堤(えんてい)工を概成し、宮洞谷(中津川市加子母)は砂防堰堤工2基のうち1基を完成させる。福崎谷(中津川市加子母)で工事用道路と砂防堰堤工に着手し、黒田川(中津川市阿木)で用地測量に着手、寺洞川(恵那市笠置町)で測量、設計、地質調査を行う」
 「急傾斜地崩壊対策事業では、要配慮者利用施設がある上久呂瀬工区(恵那市上矢作町)、渡合・番田工区(中津川市加子母)で15年度に引き続き工事を進める。また、地域防災計画で避難所に指定されている上矢作振興事務所などの保全を図るため、横吹2工区(恵那市上矢作町)で擁壁工事に着手し、中野工区(中津川市付知町)は用地測量などに着手し、八重洞工区(恵那市山岡町)は測量、設計、地質調査を行う」
 −地元建設業に対してメッセージを。
 「地域建設業は、社会資本の整備や維持管理に不可欠であり、地域の安全・安心、雇用の確保、産業の維持発展に必要な存在だ。道路・河川・砂防の維持補修業務では、日時を問わず迅速な維持作業などを行うことで、道路事故の減少や適正な維持管理につながっている。冬季には早朝の除雪や凍結防止剤の散布作業などに対応していただき大変感謝している。14年2月の豪雪では、通行止めや停電などで住民の不安は大変大きなものであったが、迅速な対応で交通を回復していただき、地域住民も頼もしく感じていたと思う」
 「依然として建設業を取り巻く経営環境は厳しいが、管内ではリニア中央新幹線岐阜県駅へのアクセス道路整備など関連事業もあるので将来に期待が持てる。公共事業への地域のニーズは依然として高く、社会基盤の整備や老朽化する社会資本の維持管理など、やるべきことはたくさんある。今後も県が進める事業への協力をお願いするとともに、若者や女性の従事者が誇りを持って働ける業界になるようお互いに力を合わせていきたい」

提供:建通新聞社