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建通新聞社(中部)
2016/05/27

【岐阜】県西濃地区2事務所の事業展望

 広域農道西南濃3期地区の整備などを推進する岐阜県西濃農林事務所の木内康文所長と東海環状自動車道西回りルートへのアクセス道路などさまざまな事業を推進する岐阜県大垣土木事務所の冠者信男所長に2016年度の主な事業などを聞いた。(聞き手は岐阜支局=高木敏之)
<西濃農林事務所 木内所長>
 ――16年度の予算規模を伺いたい。
 「農業農村整備事業の当初予算は約21億8000万円。県営分が9事業19地区で約11億2000万円、団体営分が3事業390地区で約10億6000万円を見込んでいる。また、15年度繰り越し予算が県営6事業6地区で約6億6000万円あり、当初分と合わせると約28億4000万円となる。このほか、治山事業として、当初予算が9カ所で約2億9000万円、15年度繰り越し予算が6カ所で約8000万円の合計約3億7000万円。林道事業として、県営関ケ原林道など4路線で約1億円を見込んでいる」
 ――事務所の重点施策と主要事業について伺いたい。
 「農業農村整備事業では16年度は新たな『ぎふ農業・農村基本計画』がスタートした年。その基本方針の一つである『売れるブランドづくり』のためには優良農地や農業用水の確保が必要となる。農地の集約化ができるように農地中間管理事業と連携した事業を進めていく。海津市などで暗渠排水事業4地区を実施する予定のほか、垂井町ではほ場整備事業栗原地区の整備を引き続き進める。農業用水を確保するため、かんがい排水事業を安八町内で進めるほか、大垣市内で新たに1地区に着手する。一方、『住みよい農村づくり』では、農村地域の湛水被害を防止するため、老朽化などにより機能が低下している大垣市の農業用排水機場3地区で引き続き施設の更新を進めていく」
 「治山・林道事業では、山地災害から県民の生命・財産を守るため、大垣市や海津市などで復旧治山事業や予防治山事業を新たに4カ所着手する。また、森林資源の適切な管理、山村地域の振興を図るため林道、作業道の整備も進めていく」
 ――16年度の新規事業着手箇所について伺いたい。
 「県営かんがい排水事業で、山王・下立用水二期地区の用水路補修に着手する。中山間地域総合整備事業で大垣上石津地区の用排水路、農道、集落排水、集落防災の整備に着手する」
 「復旧治山事業では、大垣市上石津町の坂と海津市南濃町の奥谷の谷止工に着工するほか、予防治山事業では大垣市上石津町の岡峰の山腹工と須谷の谷止増厚工に着手する」
 ――17年度の新規事業採択に向けた要望の動きがあれば、伺いたい。
 「大垣市内の県営かんがい排水事業入方用水地区の用水路補修と県営湛水防除事業古宮地区の排水機場1カ所の更新、中山間地域総合整備事業関ケ原地区の用排水路工、農道整備など。また、県営特定農業用管水路等特別対策事業福江地区と土倉地区の農業用石綿セメント管水路敷設替えの5事業について新規採択へ向けた準備を行いたい」
 ――建設業に対してメッセージを。
 「建設業界には、災害時の応援や水防活動などに尽力いただいていることに対し、感謝を申し上げる。先人より引き継がれてきた農地は食糧生産の場、また森林においては多面的な機能を有しており、これらを将来にわたって守り続けていくためには、建設業の力添えがなくてはならないものと考えている。これからもお互いにコミュニケーションをしっかりと取りながら事業を進めていきたい」

<大垣土木事務所 冠者所長>
 ――事務所の課題はどうか。
 「県では、東海環状自動車道を最重要プロジェクトとして位置付け、未開通区間となっている西回り区間の20年度末までの全線開通を国に要請しており、当事務所としては、開通時期を見据え岐阜関ケ原線の神戸町丈六道工区や養老平田線の養老町石畑工区のアクセス道路の整備を重点的に推進する必要がある。また、管内の国道21号や岐阜垂井線、大垣一宮線、大垣江南線には渋滞ポイントが点在しており、特に揖斐川、長良川の渡河部では激しい交通渋滞が発生することから、交通容量を拡大するため、早急な整備が重要と考えている」
 「西濃地域は、過去から多くの洪水による浸水被害が発生しており、近年は短期的・局地的な豪雨が発生し、確かな安全安心の県土づくりとして『新五流域総合治水対策プラン』や『八山系砂防総合整備計画』に基づき、事前防災として抜本的な治水対策が求められている。また『岐阜県河川インフラ長寿命化計画』に基づき河川構造物の長寿命化や耐震化を図り、効率性を高めていく」
 「全国各地で地震が発生しており、本地域でも、南海トラフ巨大地震や内陸型地震などの超広域災害に備えるため、緊急輸送道路の機能を確保する『岐阜県緊急輸送道路ネットワーク整備計画』に基づき、緊急輸送道路の道路拡幅や、橋梁耐震、斜面対策などが急務となっている。また、県管理道路の安全・安心を確保するため、14年度に改定された『岐阜県道路施設維持管理指針』に基づき、管内410`の県管理道路(国道2路線、主要地方道13路線、一般県道35路線、橋梁約470橋)を適正に管理していく必要がある」
 ――16年度の主要事業について伺いたい。
 「道路事業の大垣江南線では、15年2月に揖斐川に架かる大安大橋を含む2・4`区間を開通させた。16年度は、この区間から東に向かって県道安八平田線までの約1`間の設計、用地測量、用地買収を進める。岐阜関ケ原線は、養老鉄道踏切による慢性的な渋滞の解消、東海環状自動車道大野神戸インターチェンジ(IC)へのアクセス道路として早急な整備が必要で踏切の立体化および4車線化の整備に取り組んでおり、16年度は、跨線橋の下り側2車線の開通を目指し、上部工工事及び道路改良工事を実施する。東海環状自動車道西回り区間の養老ICへのアクセス道路として整備を進める養老平田線では、16年度は、引き続きIC以西の歩道設置および舗装工事を実施する」
 「河川事業では、大谷川の洗堰の改修を図るため市之坪橋改築工事を進めるとともに、15年度に引き続きJR東海道線の橋梁の嵩上げのための調査を進める。杭瀬川は大垣市笠木町地内の菅野川との合流点の改築工事を15年度に引き続き実施する。水門川では総合的な治水対策として、洪水調整池や校庭貯留などを進めるほか、水門川排水機場において、「岐阜県河川インフラ長寿命化計画」に基づき施設の更新を行う」
 「通常砂防事業として13年度から着手した大垣市上石津町の乙坂一の谷で引き続き工事を進めるとともに、急傾斜地対策事業として、大垣市上石津町の西谷地区および関ケ原町今須地区で工事を実施する。また、海津市南濃町の志津北谷で『岐阜県砂防施設長寿命計画』に基づき堰堤補修工事を行う」
 「橋梁の耐震補強では、北方多度線の油島大橋で13年度から橋脚7基の橋梁耐震対策工(下部工橋脚補強工)に着手しており、16年度は残り3橋脚の耐震補強工事(PC巻立て工法)を実施し、年度内の完成を目指す」
 「そのほか、国道365号の上石津トンネルが供用開始後約30年経過しているため、12年度から補修・更新を順次進めており、16年度は非常用設備更新のための設計業務を委託する」
 「養老公園では、『養老改元1300年祭』の開催が17年に予定されており、現在老朽化した施設の修繕・更新工事など公園の魅力アップに取り組んでいるところで、16年度は、こどもの国の遊具更新及び橋梁補修工事などを進める」
 ――建設業に対してメッセージを。
 「景気は回復傾向にあるが、少子高齢化により人材獲得が厳しくなる中、建設業界ではいろいろな人に広く建設業の魅力をPRしていただき、若い人や女性を始め、人材確保に努めてもらいたい。また、災害や異常気象が頻発する中、社会資本整備や強靱(きょうじん)な国土づくりの推進は喫緊の課題であり、住民の生命や暮らしを守るために一番必要なのは地域の建設業の人たちの力である。そのため、若い人がたくさん集まる活気ある業界となってほしい」

提供:建通新聞社