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建通新聞社(中部)
2016/06/07

【岐阜】県揖斐土木 2016年度事業展望

 揖斐川町、大野町、池田町の揖斐郡3町を所管する岐阜県揖斐土木事務所。人口は2016年4月1日現在で、3町合わせて6万8929人、管内の面積は約876平方`、そのうち88%に当たる約771平方`を山林が占める。国道は303号と417号の2路線、主要地方道は岐阜関ケ原線など5路線、一般県道は21路線の合計28路線の今後の整備などを4月に就任した野崎眞司所長に聞いた。(聞き手は岐阜支局=高木敏之)
野崎眞司所長 ――管内の課題について伺いたい。
 「東海環状自動車道西回りルートの整備が進められているが、大垣西インターチェンジ(IC)から大野神戸IC(仮称)間については19年度に開通予定であることが公表されている。このため、揖斐郡各地から大野神戸ICなどにアクセスするための(都)大野揖斐川線、主要地方道岐阜巣南大野線、国道417号などの整備が喫緊の課題である」
 「また管内は、大部分が急峻(きゅうしゅん)で脆弱(ぜいじゃく)な地形であることから、幹線道路や生活道路の安全確保のための落石対策や東海地震などの大地震に備えた耐震対策などの防災工事を推進する必要がある。そのほか、浸水や土砂災害から地域住民の暮らしを守るため、河川改修工事や砂防工事、急傾斜地崩壊対策工事などのハード対策と豪雨時の適切かつ迅速な住民避難につながるソフト対策を併せた、総合的な防災・減災対策を推進する必要がある」
 ――整備方針を伺いたい。
 「管内の課題を解決し魅力ある地域づくりに貢献するため、三つの目標を定め必要な対策、事業を推進する。一つは「活力ある地域づくり」のため、県経済の発展や地域の活性化に不可欠な幹線道路と地域を支える道路の整備を進める。次に住民の皆さんが「安心して暮らせる地域づくり」のため、防災・減災対策として、砂防、急傾斜地崩壊対策、河川改修、道路防災の事業を推進する。最後に、「県民協働による地域づくり」のため、道路、河川の維持管理の効率化を図る『社会基盤メンテナンスサポーター制度』や『ぎふ・ロード・プレーヤー制度』『フィッシュウェイサポーター制度』『ぎふ・リバー・サポーター制度』など、地域の皆さんと連携した道路・河川維持活動を積極的に進め、地域から愛着を持たれる土木施設を目指すとともに維持管理コストの削減を図る」
 ――16年度の主な道路事業はどうか。
 「東海環状自動車道ICへのアクセス道路整備として、岐阜巣南大野線の下磯〜麻生区間については、麻生交差点の改良を優先的に進めており、16年度は用地補償を推進する。麻生交差点から東西に延びる都市計画道路大野揖斐川線については、現在、大野町工区で用地補償を進めており完了した区間から随時工事を実施している。また、揖斐川町工区でも引き続き用地補償と工事を推進する。そのほか、本庄揖斐川線の福島〜長良区間については16年度に引き続き用地補償を推進する」
 「国道303号の西横山バイパス(BP)整備は揖斐川町東横山〜坂内坂本区間の幅員狭小、線形不良及び落石や土砂流出が発生するなどの危険箇所を解消するため、14年度から事業着手しており、BP区間内に計画されている『鉄嶺(くろがね)トンネル』(仮称)本体工事の発注に向け準備を進めている」
 「国道417号では、13年度から岡島橋〜脛永橋間の通学にも利用されている幅員狭小区間の和田工区について歩道設置を含む道路拡幅事業に着手しており、16年度は用地補償を進める。09年度から事業着手した横山・鶴見BPでは、早期の完成を目指し引き続き『横山トンネル』(仮称)の本体工事と『川尻桟道橋』(仮称)の橋梁工事などを推進する。そのほか、国道417号は転石や浮石が多数あり、過去には法面崩壊が発生していることから揖斐川町西横山地内で引き続き落石対策等の防災工事を進める」
 「道の駅では、県と大野町で『道の駅大野』(仮称)の整備を進めており、16年度は用地買収など大野町と協力して取り組む。また、『道の駅星のふる里ふじはし』は、揖斐川町の地域防災計画の避難所に指定されており、15年度から災害時に利用できる貯水槽や非常用電力確保のための発電装置の設置、トイレの洋式化などを進めている」
 「そのほかの道路整備等として、揖斐川谷汲山線三輪工区の歩道設置などの安全対策、国道303号の川上トンネルの補修、神原西津汲線の久瀬橋の耐震対策、国道303号の鎌曽橋の補修などを行う。また、災害復旧事業として国道417号の櫨原地滑り対策工事を進める」
 ――河川、砂防事業はどうか。
 「河川事業では、揖斐川町上南方地区の浸水被害軽減のため桂川で1995年度から県単河川局部改良事業を実施しており、16年度も引き続き掘削護岸工事を実施する。また、水みちの連続性を確保するため、飛鳥川の魚道改築も実施していきたい」
 「通常砂防事業では、池田町片山地内の金地谷で護岸工の整備を進めるほか、揖斐川町谷汲深坂地内の北洞谷で堰堤(えんてい)工の新設に向け測量、地質調査、設計を進める。揖斐川町春日美束地内の古田谷で堰堤工を新設するため、地質調査、設計に着手するとともに、寺谷で護岸工事を進める」
 「急傾斜地崩壊対策事業は、揖斐川町北方地内の西平工区と揖斐川町東津汲地内の東津汲2工区で15年度に引き続き擁壁工などの法面対策工事を推進する。また、揖斐川町乙原地内の乙原工区では、引き続き用地補償を進めるほか、揖斐川町春日六合地内の樫工区で測量、地質調査、設計を進める」
 「雪崩対策事業として揖斐川町春日香六地内の正金地で、用地補償を完了し雪崩予防柵の工事を進める」
 ――建設業界へメッセージを。
 「建設業は社会資本の整備、維持管理を行っていく上で欠くことのできない存在で、災害など有事の際の迅速な対応や、地元の雇用の場など産業の発展に果たす役割は大きい。また、冬季の除雪などに昼夜を問わずに取り組むとともに、ボランティア活動などにも積極的に参加されている。そういった継続的な活動が地域を守り、そこに住む人たちの安全安心につながっている。これからも、建設業の魅力を積極的にアピールしていただき、次世代を担う若手技術者の確保、育成に取り組んでほしい」

提供:建通新聞社