トップページお知らせ >地方ニュース

お知らせ

地方ニュース

建通新聞社四国
2016/06/07

【高知】耐震強化岸壁など整備 須崎港長期構想検討委

 高知県と須崎市は2日、須崎港長期構想検討委員会の第1回会合を開いた。会では、須崎港の現状の課題を抽出したうえで、耐震強化岸壁の整備などの防災機能の充実、老朽化が進む港湾施設の適正な維持管理、産業を支援する物流機能の充実などが今後の方向性として示された。これに基づき、具体的な構想や計画を策定していく。
 この委員会は、今後おおむね20〜30年で長期的な発展方向を示す長期構想と、これを踏まえおおむね10〜15年を対象とする新たな港湾計画の素案を策定するために設立されたもので、国県市や学識経験者のほか、地元で港湾にかかわる企業や団体も交えて検討を進める。
 委員会の設立にあたり、事前に準備会を開いて、須崎港の現状の課題などを抽出した。須崎港内では、最大クラスの地震が発生した場合、10〜15bの津波が襲来すると想定されており、国直轄で湾口防波堤の粘り強い化と防潮堤の整備が進められている。しかし、耐震強化岸壁は未整備で、県の防災拠点港に位置づけられているため、緊急物資供給能力の確保が課題となっている。
 このほか、大峰地区ではバースの過密利用対策、船舶大型化への対応、潮待ち・待船の解消といった課題がある。整備後40〜50年を経過した公共港湾施設も多く、老朽化が進んでいる。
 事前に行った市民2000人を対象としたアンケート調査でも、耐震強化岸壁の早急な整備など津波防災対策を求める意見が多く、地元の委員もおおむね同意見となっている。
 こうした課題を解消するため、長期構想を策定するにあたり、いくつかの基本戦略案を抽出した。ハード面では、災害に強い港の構築として耐震強化岸壁の整備。安全・安心を実感できる港の構築として漂流物対策事業導入の検討・実施、がれき処分対策の検討・実施。産業を支援する物流機能の充実として、大型船舶に対応した岸壁の整備、埠頭用地の整備・再編、新たな貨物の創出、新たな企業の誘致、維持管理計画に基づいた点検・補修・長寿命化工事の実施、地域特性を生かした交流機能の充実として津波防波堤周辺への藻場造成の範囲拡大などを示している。委員からは「優先度の高いものを抽出した方がよい」と意見が出されており、今後対策を具体化していく。
 次回の委員会は9月に開催する予定で、今回の意見を参考に基本構想案を策定する。その後パブリックコメントを実施し、委員会の検討状況に応じて、あと1回会合を開き、17年度以降に最終的な構想をまとめていく。

提供:建通新聞社