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建通新聞社(東京)
2016/06/07

【東京】九段会館 年末にも事業者公募へ

 財務省関東財務局は九段会館の保存・活用で、九段会館および同敷地に関する検討委員会(委員長、伊藤滋早稲田大学特命教授)の保存・活用方針報告がまとまったのを受けて、民間事業者選定の手法や条件などを整理した上で、国有財産関東地方審議会に秋にも付議する方針だ。順調なら年末にも民間事業者の募集手続きを開始する見込み。
 同委員会の報告書によると、九段会館は歴史的価値などを継承しながら、高度利用して保存・活用する方針。
 一定の改変を許容する動的保存を前提とした上で、外装や内部空間・部材をできるだけ保存、創建時の姿を復元する。
 具体的には、建屋北側(北側玄関、北東側塔屋がある部分)は外装・内部空間ともに保存。北東側塔屋南側から南東側塔屋に至る建屋東側は、復元的整備を容認する。ホール部を含む建屋南側は、建物増築を可能とする。増築建物の高さは周辺景観との調和に配慮、おおむね75メートル以下にする。
 敷地については、水辺の歩行者ネットワーク形成やオープンスペースの確保、樹木や石碑などの歴史的資源の活用への配慮の必要を指摘している。
 会館は、1934年の完成で鉄骨鉄筋コンクリート造地下1階地上4階建て延べ1万4,777平方メートル。敷地面積は8,855平方メートル。用途地域は商業地域で、建ぺい率80%、容積率700%。
 昭和初期の記念建築物としての稀少性や九段下の景観を形成してきた重要性、二・二六事件で戒厳司令部が置かれた歴史性がある。完成後80年が過ぎて建物が老朽化、東日本大震災で被災し、現状では効率的な利用が困難になっていた。関東財務局は、ことし1月に同委員会を設置し、検討を行っていた。

提供:建通新聞社