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建通新聞社(中部)
2016/06/09

【岐阜】県高山土木 2016年度事業展望

 岐阜県高山土木事務所の管内は県北部に位置し、高山市(国府町、上宝町と奥飛騨温泉郷の区域を除く)と大野郡白川村の1市1村からなり、面積は県土の18・5%を占める山岳地域。人口は約8万2千人(県全体の約4%)で、人口密度は約42人/平方`と低く、最近3カ年の人口動態は減少傾向にある。ことし赴任した鈴木金治所長に2016年度の事業計画などを聞いた。鈴木金治所長
 (聞き手は岐阜支局=村松衡)
 ――高山土木事務所の現状と課題を。
 「東海北陸自動車道の全線開通によって高規格幹線道路ネットワークが確立し、飛騨地域では観光交流等の活性化が図られつつある。一方、一般道においても順次バイパス(BP)や拡幅工事などにより安全で快適な道路を整備しつつあるものの、大型車両が走行できないトンネルや擦れ違いが困難な橋梁、異常気象時や冬期に通行が制限される区間があるなど、解決すべき課題がまだ多く残されており、引き続き道路整備を進める必要がある」
 「また、管内は山岳地形を呈し、険しい山地や急流河川が多いことから、ひとたび大雨が降れば、すぐに河川が増水し洪水が発生するとともに山地崩壊に伴う土砂災害が発生しやすい地域である。近年においても、集中豪雨による浸水被害や土砂災害が発生していることから、ハード・ソフト両面からの対策が必要である」
 ――16年度の予算規模などについて。
 「当初予算は公共・県単合わせて約24億円。全体としては15年度の約9割の予算配分だが、ことし3月の国補正分の約13億円を含めると15年度を約4割上回っている状況である。当初予算では工事ストック確保のため設計委託や事業用地確保を進めつつ、上半期80%以上の工事発注を目指す」
 ――基本方針について。
 「県土整備部では『ぎふの未来を支え命と暮らしを守る強靱(きょうじん)な県土整備』を基本目標とし、『ひとやしごとを岐阜に呼び込むための社会資本の整備』『確かな安全・安心に向けた強靱な県土づくりの推進』『清流の国ぎふづくりの推進』『社会資本を支えるパートナーの育成・支援』を政策の4本柱として、地域活性化や地域の安全・安心につながる幹線道路等の整備や、災害から人命を保護し、県土の保全を図るため、ハード対策とソフト対策を組み合わせた治水対策や土砂災害防止対策など、地域特性を踏まえた防災・減災対策の強化を図るとともに社会資本の戦略的な維持管理を推進していく」
 「また、地域の安全・安心を支え、大規模災害時には社会インフラの早期復旧を支える建設業と協働して人材(ME)の育成や、同様の課題を抱える市村に対する社会資本メンテナンスの技術的支援も行っていく」
 ――主な道路整備事業について。
 「幹線道路ネットワークの整備や安全・安心して暮らせる道路の整備を基本方針として道路整備を進めていく。16年度の主な道路建設事業としては、国道156号白川村福島工区、国道361号の高山市高根町の上ケ洞BPと中之宿工区、県道名張上切線の下切工区等改良工事を推進する。この内、国道361号の上ケ洞トンネルについては、15年5月に貫通し、16年度は残る照明設備工事や非常用設備工事を発注し、17年度の完成を目指す」
 ――道路の維持管理について。
 「管内には雨量規制区間が11路線12区間116・4`、雪崩規制区間が1路線14・9`あり、第1次緊急輸送道路並びに県土強靱化ネットワーク確保のためには防災・防雪対策が必要となっている。また、トンネルは40カ所、15b以上の橋梁が206橋あり、計画的なメンテナンスも必要となっている。交通安全事業としては、14年度に市村教育委員会が警察などの関係機関とともに策定した『通学路交通安全プログラム』に基づき通学路の歩道整備などを進める必要がある。16年度の主な道路維持事業としては、国道156号では白川村尾神地内の災害防除と白川村福島地内の雪崩対策、国道360号の天生峠の防災工事、国道361号の高山市高根町の船渡橋耐震補強工事、県道岩井高山停車場線高山市岩井町内の歩道整備などを推進する」
 ――河川事業について。
 「岐阜県では新五流総治水対策プランに基づく治水対策を推進しており、16年度の主な河川整備として、宮川の護岸整備、苔川の河道拡幅と護岸整備、また江名子川については近年多発している浸水被害の解消を目指し、下流域で河床掘削、中流域の河道拡幅を進める」
 「また、14年8月の豪雨で旧高山市や旧清見村を中心に甚大な被害を受けたため、16年度も引き続き災害復旧事業を進め、年度内完成を目指す」
 ――砂防事業、急傾斜地崩壊対策事業について。
 「岐阜県では八山系砂防総合計画に基づき、災害時要配慮者関連施設や指定避難所を保全する箇所から重点的に土砂災害対策事業を進めている。土石流対策としては、高山市越後町の越後洞砂防堰堤や高山市清見町の堂ケ洞上砂防堰堤(えんてい)の他2カ所で砂防事業を進める。急傾斜地崩壊対策としては、高山市清見町の山黒地区や高山市八幡町の久金地区の他2カ所で事業を進める」
 ――建設業界へメッセージを。
 「建設業は社会資本整備の担い手であるとともに、地域の安全・安心を支える重要なパートナー。災害発生時や除雪時には最前線で尽力されるなど、地域の安全を担っている。今後とも関係を維持し、より強固なものにしていきたい。将来にわたって希望や誇りが持てる業界として、人材育成などについてはこれまで以上の努力を期待する。また、安心して働ける職場とするためには現場事故を無くすことが重要。受発注者で連携して取り組んでいきたい」

提供:建通新聞社