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北陸工業新聞社
2016/06/22

【石川】変貌する金沢港前編/日本海側のクルーズ拠点へ/無量寺岸壁を水深10m化

 「金沢港無量寺岸壁は直轄事業で水深10メートル化され、大型クルーズ船の接岸が可能となる。日本海側のクルーズ拠点港を目指す」―。今月7日の石川県議会6月定例会の提案理由説明で谷本正憲知事は同港の将来像についてこう意気込みを示した。
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 開港から45年が経過した金沢港―。かつては釣り堀と揶揄された同港だが、コマツの工場移転などを契機とする直轄と県による港湾機能の強化に伴い、コンテナ取扱量やクルーズ船の寄港数が増加。13年度に県事業で整備したトランスファークレーンが稼働、昨年度末には輸出拠点などとなる大浜大水深岸壁(マイナス13メートル)が直轄事業および県事業として完成したほか、現在は県事業として御供田2号ふ頭における日本海側最大の吊能力を有するガントリークレーンの増設事業が進められている。
 今年度からの新規事業となる直轄による無量寺岸壁(延長390メートル)の増深は、現行マイナス7・5メートルの岸壁をマイナス10メートル化し、10万トンクラスの大型クルーズ船が寄港できるようにする内容。港内の金沢市街地寄りに位置する同岸壁はもともと旅客船向けに整備されたが、近年の客船の大型化により、10万トンクラスには対応できなくなり、現在では10万トンクラスはマイナス10メートルの戸水岸壁、10万トンを超える場合はマイナス12メートルの大浜岸壁にそれぞれ接岸している。北陸地方整備金沢港湾・空港事務所では平成30年代前半の完成を目指して16年度に増深に向けた土質調査や基本設計、撤去工に乗りだす構えで5000万円を予算計上している。
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 こうした一方で金沢港では開港初期に整備された上屋やサイロの老朽化が進んでおり、県では16年度、金沢港にある上屋の再配置に向けた調査に乗り出すほか、老朽化した穀物サイロを解体撤去する。
 同港には、県有の上屋が5棟、県や金沢市らが出資する金沢港運(金沢市湊4丁目11番地、堀岡修次社長)所有の上屋が8棟あり、このうち無量寺および戸水ふ頭内にある上屋8棟(500〜2500平方メートル)が、築後約30〜40年が経過し老朽化したため、県では上屋を適正に再配置することで物流機能を効率化する。16年度当初予算に調査費1000万円を計上した。再配置計画の策定にあたっては金沢港運と調整する。
 無量寺ふ頭にある県営穀物サイロは、13基(鉄板製)で規模が3500トン(高さ19メートル)。エレベーター2基が設置されている。県では築後、30年以上経過していることから解体撤去に踏み切る。当初予算に事業費1億636万8000円を計上している。
(つづく)

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