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建通新聞社(中部)
2016/06/23

【岐阜】県東部広域水道事務所 2016年度事業展望

  清流「木曽川」と「飛騨川」を水源として岐阜東部地域の7市4町(多治見市、中津川市、瑞浪市、恵那市、美濃加茂市、土岐市、可児市、坂祝町、富加町、川辺町、御嵩町)の約50万人に水道水を供給している岐阜県営水道東部広域水道事務所。近年の大規模災害を見ても、ライフラインの安定供給は人々の暮らしを支え、命を守るために必要不可欠だ。同事務所では各水道施設の老朽化などに伴い、さまざまな対策を行う。小林勝朗東部広域水道事務所長に2016年度の事業計画などを聞いた。(聞き手は岐阜支局 村上周平)東部広域・小林勝朗所長
――事務所の概要と役割は
 「岐阜県は、岐阜県東部地域の水道水供給のため『東濃上水道用水供給事業』と『木曽川右岸上水道用水供給事業』の2事業を創設し、1976年度から給水を開始した。その後、供給系統の多重化による危機管理体制の強化や水需要増加への合理的な対応をするため二つの事業を統合し、岐阜東部上水道用水供給事業として現在に至っている」
 「同事業の主要施設としては、中津川浄水場、山之上浄水場及び川合浄水場の三つの浄水場があり、給水能力は合計約25万立方b/日となっている。送水管路は約178`、その他に37カ所の給水地点、10カ所の増圧ポンプ場などの施設がある」
――水道管の耐震化、地震対策に向けてなど事業の必要性
 「16年4月に発生した熊本地震で被災された方々に、心からお見舞いを申し上げます。 地震により、建物の倒壊や水道が断水するなど不便な生活を余儀なくされておられる方々の御心労ははかり知れないものと思います。被災地の一日も早い復旧・復興をお祈り申し上げます」
 「地震対策としては当事務所においても、南海トラフ巨大地震などへの対策は急務となっている。供用開始から39年を経過し、重要施設である管路やコンクリート構造物の老朽化が進行しており、強靭で持続可能な水道施設の構築のため計画的に施設改修や更新を行っている」
 「当事務所の管路の耐震適合率は、現在80・7%(15年3月末)となっており、耐震適合率100%を目指し、安全で安心な水を安定して給水するための各種事業を進めている」
――16年度の予算規模、編成について
 「16年度当初予算は約96億円。内訳は施設の修繕費及び委託費用として約10億円、その他維持管理費用として約38億円、建設関係費用は管路布設費、施設改良費、固定資産費などで約48億円を計上している」
 「地震対策などの各種事業として、大容量送水管整備事業、非常用電源対策事業、危機管理対策事業、災害時応急給水支援施設整備、施設更新工事などを実施している」
――重点施策(主な事業)について。
 「まず大容量送水管整備事業は、大規模地震などの緊急時に給水が持続できるよう、貯留機能と応急給水拠点機能を付加した大容量送水管の整備を進める。事業の全体計画としては4期、40年間計画で、現在は第1期事業(13年〜22年)として、実施優先度の高い区間から順次事業を推進、口径200〜900_の耐震管の布設を実施している。また緊急遮断弁整備事業として、一部管路に緊急遮断弁を整備することで地震発生時にも確実に貯留水が確保できるよう整備を推進している。大容量送水管は、既設管への接続が完了した箇所から順次供用開始を予定している」
 「次に非常用電源対策事業は、大規模地震等災害時に長期間にわたる電力供給の停止が想定されることから、中津川、山之上、川合の3カ所の浄水場と、10カ所の増圧ポンプ所において、24時間以上の連続運転と給水の持続が可能な非常用発電設備の整備を推進し、15年度までに整備を完了している。これまで特別高圧受電は、停電の可能性が極めて低いことから非常用電源を設けていなかったが、東日本大震災の送電鉄塔の倒壊などによる長期間の電源喪失を教訓に、特別高圧受電である落合取水場でも非常用発電設備の整備を進めており、16年度の完成を目指し事業を進めている。これにより、長期間の電源損失時でも事務所の主要設備すべての運転が可能となり、さらなる水道水の安定供給につながる」
――地域建設業に対してメッセージ
 「地域の建設業の方々には、水道施設の事故発生時の緊急復旧対応として、電気、機械及び管など設備関係について、緊急対応事業者の指定をさせていただいている。また土木工事関係では、管内の可茂建設業協会、多治見建設業協会、恵那建設業協会と「水道施設事故における復旧の応援に関する協定」を締結し、緊急時の復旧対応に協力してもらい大変感謝している」
 「水道施設事故が発生した場合も、水道水の供給を継続するため、休日・夜間を問わず緊急復旧工事を依頼することもあり、大変ではありますが協力をお願いしたい。建設業の方々の高い技術力が、安定した水道水の供給には不可欠であり、今後とも、さらなる技術力の向上と、施設整備への協力をお願いしたい」
 「最後に建設業の方々には、さらなる地域貢献と質の高い工事の施工を目指して頂き、地域から信頼される存在となるよう、頑張っていただきたい」

提供:建通新聞社