トップページお知らせ >地方ニュース

お知らせ

地方ニュース

建通新聞社(中部)
2016/07/04

【愛知】愛知県西三河建設事務所 2016年度事業展望

 愛知県西三河建設事務所は、「西三河地域の発展と安心・安全な地域づくり」として、各主要施設へのアクセス道路整備に重点を置いた施策を展開していく。「安全で災害に強い地域づくり」では河川改修とともに三河湾沿岸部の堤防耐震化対策を推進する。就任2年目を迎えた野昌彦所長に、主要事業や今後の課題などを聞いた。
―2016年度の当初予算規模と概況は。
 「当事務所の16年度当初予算は全体で約108億円。『西三河地域の発展と安心・安全な地域づくり』を目指す。自動車関連の製造業をはじめとする産業が盛んな当地域が持続的に発展していくために必要不可欠な人・モノ・情報の交流を促進するため、中部国際空港や衣浦港などの主要施設へのアクセス道路整備を重点的に取り組む。また、『安全で災害に強い地域づくり』として、床上浸水対策特別緊急事業に引き続き、広田川および鹿乗川をはじめとする河川改修を重点的に実施するとともに、三河湾沿岸部の一色・西尾海岸を対象に、堤防耐震化対策を推進していく」
―主な道路事業は。
 「管内の主要幹線道路の整備については、2月13日に開通した新東名高速道路の岡崎東ICへのアクセス道路として整備した国道473号バイパス関連の舗装工事や交通安全施設などの工事を実施するとともに、トヨタテストコースのアクセス道路でもある東大見岡崎線や蘭鍛埜線などの改良事業を進める」
 「また、中部国際空港や衣浦港と東名高速道路岡崎ICを結ぶ都市計画道路衣浦岡崎線については、さらなる物流の強化などを図るため、西尾市内の新汐川橋を含む約2`の区間で実施している主要地方道西尾幸田線の4車線化整備の事業進捗を図る。16年度はすでに4車線で整備している新汐川橋の早期供用に向けて、前後区間の4車線化を進める」
 「都市計画道路美合線は、JR岡崎駅から東に伸び、国道1号につながる幹線道路である。蓑川南部土地区画整理事業と調整をしながら整備を進め、竜泉寺川の新蓑川橋をことし1月に供用しており、残る事業用地の取得に努める」
 「岡崎市の中心市街地を縦断し、名鉄東岡崎駅につながる都市計画道路明代橋線は、歩行者・自転車利用者の利便性向上と災害に強いまちづくりを図るため、電線共同溝工事を進めており、16年度は14年度から実施している国道1号から北側の工事を引き続き進める予定」
 「旧西尾市、旧吉良町、旧幡豆町を結ぶ地域の幹線道路である西尾幡豆線バイパスについては、全線延長8・9`のうち、12年度までに延長7・4`が供用開始済みで、今年度から並行して流れる矢作古川と広田川を跨ぐ上横須賀橋に着手する」
 「15年度から取り組んでいる『第3次あいち地震対策アクションプラン』による橋梁の耐震対策については、名古屋岡崎線(日名橋)を引き続き整備するとともに、本年度は、富好新田宮崎鳥羽線(新宮崎橋)に着手する」
―舗装事業は。
 「16年度については、国道248号(岡崎市柱曙、幸田町大字大草)、西尾吉良線(西尾市貝吹町)などで舗装道修繕工事などを行う。また、事故を誘発する危険のあるポットホールなど緊急を要する修繕箇所については、舗装修繕機動班、小規模舗装道修繕工事などにより対応している」
―河川事業については。
 「昨年度で、床上浸水対策特別緊急事業(伊賀川、広田川、砂川、鹿乗川)が完了し、特に緊急を要する区間の河川改修は終了したものの、引き続き治水安全度の向上が求められており、広田川および鹿乗川について、交付金事業で河川改修を進めていく」
―海岸・港湾・漁港事業は。
 「管内の海岸総延長は、約40`であり、15年度より第3次あいち地震対策アクションプランに基づき、高潮、地震、津波による被害を防ぐため、海岸保全対策事業として二重鋼矢板工法による堤防補強などを、一色海岸(大岡地区)、西尾海岸(中根地区)、一色漁港海岸で引き続き工事を進める」
 「管内の所管港湾は、地方港湾である東幡豆港、吉田港の2港であり、東幡豆港については港湾施設の整備を進めている。管内の所管する漁港は、西幡豆漁港、一色漁港の2港であり、一色漁港については広域漁港整備事業基本計画に基づき漁港整備を進めている」
―砂防・急傾斜事業は。
 「土砂災害警戒情報の提供などのソフト対策とともに、ハード対策として管内の土石流危険渓流374カ所、急傾斜地崩壊危険箇所426カ所について、順次整備を進めている。当茂谷をはじめ土石流危険渓流では、砂防堰堤(えんてい)などの整備を進めている。また、急傾斜地崩壊対策事業では、人家背後地の斜面崩壊による災害を防止するための擁壁工などを進めている」
 ―流域下水道事業についてはどうか。
 「矢作川流域下水道事業は、当事務所管内に豊田市、安城市の2市を加えた4市1町を対象に供用している。矢作川浄化センターは、全体計画の処理水量が46万3800立方b/日最大。現在の施設の能力は、11年末に2万立方b/日最大を増設して、26万3800立方b/日最大となっている。幹線管渠は総延長72・3`が02年度末までに完了している。供用開始から24年が経過しており、長期間使用による老朽化の著しい施設では改築更新工事を進めている。16年度は、砂ろ過施設の電気設備更新工事、水処理施設の機械・電気設備更新工事などを発注する予定である。また、耐震対策として、水処理施設の耐震対策工事等を進めるほか、汚水量増加に伴い、水処理施設8系目の工事に向けた設計を実施する」
―建築事業は。
 「建築課では、計画的なまちづくりや安全な建築を目指して、建築基準法に基づく検査、都市計画法に基づく開発許可などの業務(特定行政庁・限定特定行政庁等を除く)を行っている。また、人にやさしい街づくりの推進に関する条例に基づく、高齢者、障害者等が円滑に利用するための特定施設の新築、増築、改築、用途変更を行う際の検査や建設リサイクル法の届出業務などを行っている」
―地元建設業界に対してお話しください。
 「建設、維持管理の両面で、西三河建設事務所管内のインフラを支える重要なパートナーと認識している。ことし4月には、新たな防災協定を締結したところであり、発生が危惧されている南海トラフ地震を始めとする大規模地震への防災体制の強化や集中豪雨への対応など、地域の安心・安全のため、迅速で適切な対応をお願いしたい。また、日ごろからお願いしているが、労災ゼロを目指した安全管理を徹底するとともに、本年度は、労働環境の改善に向けて、土・日曜日を休日とする『完全週休2日制モデル工事』と女性専用仮設トイレなどを設置する『誰もが働きやすい現場環境整備モデル工事』の取組みに対する協力をお願いしたい。地域の産業・経済を支える良質な社会インフラの整備、維持管理に向け建設業の持つポテンシャルをフルに発揮するためには、建設関連業における技術力の承継が不可欠であり、若手技術者の人材確保・育成の取り組みをお願いしたい」

=16年度主要事業=
【道路・橋梁】
 ▽東大見岡崎線(岡崎市一色町地内)―延長240〜500b、幅員9・75b。16年度は道路改良(法面工、舗装工等)を実施
 ▽西尾幸田線(西尾市菱池町)―延長1030b、幅員15b。16年度はU期線へ道路切替工事を実施
 ▽都市計画道路明代橋線(岡崎市唐沢町始め)―延長約170b、幅員4・5b。16年度は2街区の電線共同溝設置工と歩道築造工を実施
 ▽西尾幡豆線(上横須賀橋)―橋長162b、幅員15・3b。16年度は下部工(P2橋脚)および護岸工を実施
▽蒲郡碧南線(城山橋)―橋長37・3b、幅員9・75b。16年度は橋梁上部工を実施
【舗装道修繕】
 ▽国道248号(幸田町大字大草)―延長430b
 ▽国道248号(岡崎市柱曙)―延長120b
 ▽西尾吉良線(西尾市貝吹町)―延長450b
【河川】
◆中小河川改良事業(住宅)
 ▽広田川(岡崎市、幸田町)―全体計画延長600b。16年度は上地新川樋管工、取付護岸工、菱池遊水地調査委託
◆その他事業
 ▽鹿乗川(岡崎市)―JR横断部鉄道橋改築工事(負担金)
 ▽矢作古川(西尾市)―16年度は護岸工
 ▽矢崎川(西尾市)―16年度は護岸工
【海岸・港湾・漁港】
 ▽第3次あいち地震対策アクションプラン(15〜23年度)―16年度は西尾海岸・一色海岸・一色漁港海岸の堤防耐震対策工
 ▽東幡豆港―16年度は浚渫工
 ▽西幡豆漁港―16年度は機能保全計画
 ▽一色漁港―16年度は道路補修工、物揚場補修工、連絡橋詳細設計
【砂防対策】
 ▽当茂谷(岡崎市)―全体計画は堰堤工1基。16年度は堰堤工、前庭保護工
 ▽田迫川(西尾市)―全体計画は堰堤工1基。16年度は渓流保全工
【急傾斜地崩壊対策】
 ▽日向区域(岡崎市)―全体計画延長186b。16年度は擁壁工
 ▽豊ノ沢区域(岡崎市)―全体計画延長649b。16年度は擁壁工
【矢作川流域下水道】
 ▽矢作川浄化センター(西尾市港町)―16年度は、砂ろ過棟電気設備更新工事、水処理施設電気設備更新工事及び機械設備更新工事、水処理施設耐震対策工事
【橋梁修繕】
 ▽主要地方道名古屋岡崎線(岡崎市舳越町始め)―日名橋▽富好新田宮崎鳥羽線(西尾市吉良町)―新宮崎橋

提供:建通新聞社