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北海道建設新聞社
2016/07/04

【北海道】道内の路線価、8年ぶりに上昇−全国平均上回る0.8% 

 札幌国税局が1日発表した2016年の道内路線価は、平均で前年比0.8%増となり、2008年以来8年ぶりに上昇に転じた。最高価格は5年連続で上昇した札幌市中央区北5条西3丁目の道道札幌停車場線通(札幌ステラプレイス前)。価格は1m²当たり312万円だった。伸び率が最も大きかったのは、海外投資が活発化する倶知安町山田の道道ニセコ高原比羅夫線通で50%上回る。
 路線価は相続税や贈与税の算定に用いるもの。評価は毎年1月1日時点。
 全国平均はプラス0.2%でこちらもリーマンショック以来8年ぶりに上昇に転じた。全国的に不動産投資の活発化や金融緩和に加え、訪日外国人観光客の増加が地価上昇を後押しした。道内約1万5600地点の平均は全国平均を0.4ポイント上回っている。
 道内30税務署の動向を見ると、最高路線価の上昇は札幌中、札幌北、札幌南、札幌西、札幌東、旭川中、富良野、倶知安の8署。横ばいは函館、小樽、旭川東、帯広、岩見沢、網走、留萌、稚内、名寄、根室、浦河の11署だった。
 下落は11署で下落率5%未満が室蘭、釧路、北見、苫小牧、滝川、八雲、江差、余市の8署。5%以上は紋別、深川、十勝池田の3署となっている。
 北海道不動産鑑定士協会の斎藤武也代表幹事は「札幌市中央部が全体を押し上げた。札幌は仙台より価格水準が高く元気がある印象。地方都市には下げ止まり感が出ている」と総括。
 評価に直近の株価下落や円高は織り込んでいないが「金融緩和が続く限り札幌都心の条件の良い場所など幅を狭めつつ、じりじり上がっていく」とみている。
 11年連続で道内最高値となった札幌駅南口のステラプレイス前は前年から1m²当たり33万円値上がり。伸び率は前年を大きく上回る11.8%だった。
 札幌市内は容積率が高く市電や地下鉄駅に近い札幌市中央区南1条西11丁目石山通が22%の伸び。札幌駅北口の札幌市北区北7条西4丁目北口西通は12.8%増だった。中心部を離れた札幌市豊平区平岸2条8丁目平岸通も、地下鉄駅に近くマンション需要から8%の伸びとなった。
 斎藤氏は札幌都心は先行き上昇傾向にあると説明。市電ループ化でマンション適地が広がったことも良い影響を与えたとする。ただ「駅から10分離れるなど条件が変わると売れ行きは悪い」とし、投資が選別されている傾向を指摘した。
 伸び率トップの倶知安町山田は「ニセコブランド」が国際的に定着。同協会の増村哲史副会長は「円安傾向で外資の投資は順調。分譲型ホテルやコンドミニアムの建設が集中している」とした。
 旭川市宮下通7丁目平和通はJR旭川駅前のイオンモール開業効果で5.3%増と伸びを維持したが、西武旭川店撤退が懸念材料。北海道新幹線の開業を控えた函館市本町の道道函館南茅部線通は増減なし。周辺開発需要などを考慮し「上昇に近い横ばい」の印象という。
 このほか民間主導の再開発事業で富良野市幸町東5条通が6.3%増と上昇を続けている。釧路、室蘭は下幅拡大しているが、比率は前年比で5%未満。地価は底値圏に達しつつあり地方都市も下げ幅が緩む傾向にある。下げ幅最大は、深川市4条8番本町通で5.9%減だった。